今日は、羽生善治名人と藤井猛九段による王位戦挑戦者決定戦が行われる。→中継
ところで、2年前にブログで次のようなことを書いた。
要約すると、
- 中原誠十六世名人は、週刊新潮「気になる一手」で、王位戦挑戦者決定リーグでの対局が、名人戦で調子を上げる原動力の一つになったと書いていた。
- これは、名人戦が始まる前後は、通常の対局が少なくペースを作るのが難しいから。
- この時期、唯一あるのが王位戦挑戦者決定リーグ。
- 王位戦挑戦者決定リーグに出場した年は、名人戦での調子を上げやすかった。
- ちなみに羽生名人は今世紀、次のような年譜をたどる。
2002年
羽生四冠、1993年以来保持していた王位を失う。
2003年
王位戦挑戦者決定リーグ出場
名人獲得(1996年防衛以来7年ぶり)。
2004年
この年だけ例外で、王位戦挑戦者決定リーグに出場していたにもかかわらず、名人戦で森内九段に敗れる。しかし、この年は森内九段も王位戦挑戦者決定リーグに出場していた。
2005年
名人戦で森内名人に挑戦するが、敗れる。
前年に王位を獲得していたため、王位戦挑戦者決定リーグには出場していない。
2006年
森内名人、王位戦挑戦者決定リーグ出場。
森内名人、名人防衛。
2007年
森内名人、王位戦挑戦者決定リーグ出場。
森内名人、名人防衛。永世名人獲得。
羽生四冠、2004年以来保持していた王位を失う。
2008年
王位戦挑戦者決定リーグ出場。
永世名人獲得。
2009年
王位戦挑戦者決定リーグ出場
名人防衛
以上が2年前の記事の内容で、「王位戦挑戦者決定リーグに出場した年は名人戦で好調」という、中原十六世名人説の通りになっている、が結論だった。
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2010年も羽生名人は、王位戦挑戦者決定リーグに出場し、名人戦を防衛している。
今年も羽生名人は王位戦挑戦者決定リーグに出場している。
羽生名人は今期、5月15日まで1勝5敗と不調だったが、その後の、名人戦第4局、王位戦白組5回戦、王位戦白組プレーオフ、名人戦第5局、名人戦第6局、棋聖戦第1局と勝って、波に乗ってきている。
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年度単位で見て、1996年度(七冠獲得の年度)から先、羽生名人が、名人と王位の両方に就いていた年度はない。
もっと正確に言えば、1996年度から先、羽生名人は、名人と王位のどちらか一つだけ必ず保持していた。
名人戦第7局を来週にひかえ、今日の王位戦挑戦者決定戦。
羽生名人の名人と王位の関係、今年はどのような展開になるのか興味深いところだ。
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棋士別成績一覧のデータによると、羽生善治名人-藤井猛九段戦、羽生名人から見た対戦成績は、2001年度以降24勝4敗。2003年度以降では16勝1敗。
藤井九段にとっては苦手な相手ということになるが、一番勝負なので藤井九段にも大いにチャンスがあるところ。
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今日の昼食は、羽生名人が「親子丼」、藤井九段は「注文なし」と予想したい。
(王位戦には夕食休憩がない)