将棋世界1998年12月号、河口俊彦七段の「新・対局日誌」より。
この日の対局はあらかた終わった。その後は新宿に出て「真部八段を祝う会」に出席した。ご存知のように「将棋論考」で、将棋ペンクラブ大賞を受賞したのである。
十数人ばかりの集まりだが、顔ぶれがおもしろい。若手棋士ばかりで、真部君の人柄がうかがえる。私を除くすべての出席者が、真部邸に集まる遊び仲間ということで、あの鴎外の「観潮楼」、漱石邸の木曜会みたいな有様なのでしょうね。もっとも文学論とか、将棋論などはいっさいなく、もっぱら、サイコロを振っているらしいから、格調はちょっと落ちる。聞いていて、真部君にバク才があるのを初めて知った。えらく知的に見えるのは表面だけなのだろうか。最後に立った、真部八段の妹さん(土佐七段夫人)の一言が傑作。
「今はやさしくなりましたが、私の幼いころ、兄は、いちばん偉いのは男で、次がゴジラ、次は女だ、と苛めました」
聞いていて急に懐かしさがこみあげてきた。ヒゲの大先生(升田)も芹沢も、そんなことを言っていた。真部君もその影響を受けたのだ。そして、今もその精神は変わるまい。うがった見方をすれば、独断と偏見を押し立てているから、将棋論考がおもしろいのである。
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故・真部一男九段の有名な言葉「いちばん偉いのは男で、次がゴジラ、次は女だ」が初めて公開されたのが、将棋ペンクラブ大賞受賞の内々のお祝い会でのことだったということになる。
「将棋論考」は本当に面白かった。
1998年に将棋ペンクラブ大賞、2006年には、「将棋論考」で書かれた升田幸三実力制第四代名人に関する記事に特化し加筆された「升田将棋の世界」が著作部門大賞を受賞している。
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私が子供の頃のヒーローは、長島、王、ゴジラだった。
私が生まれて初めて見た映画は「キングコング対ゴジラ」。
幼稚園に入る前だったので、ほとんどストーリーは覚えていないが、両者が富士山で闘ったシーンは記憶がある。引き分けだったと思う。
浜美枝と若林映子の後の007コンビも出演している。
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とはいえ、私が観たゴジラ映画は2本しかなかった。
もう1本は「三大怪獣 地球最大の決戦」。
地球を襲う最凶のキングギドラに対して、一匹立ち向かうモスラの幼虫。モスラの幼虫はゴジラとラドンに対し、力を合わせてキングギドラを倒そうと説得するが二匹は知らん顔。それでも単身キングギドラと闘うモスラの幼虫。
モスラの幼虫はキングギドラに滅茶苦茶痛めつけられるのだが必死に食い下がる。
そのひたむきな姿を見てゴジラとラドンにも心の変化が起きて、三匹対キングギドラの闘いとなる。
迫力満点で、非常に満足度の高い内容だったが、この映画のあと、ゴジラが人類の味方っぽくなってしまったので、その後ゴジラの映画は観なくなってしまった。
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平成になってから、甥や姪と一緒にゴジラ映画を何本か観ている。
普通なら観に行くつもりのなかった映画だったが、何か得をしたような気分になれた。
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東京タワーはゴジラ映画で4度も破壊されている。
東京スカイツリーもゴジラに壊されてこそ、初めて一人前になれるような気がする。
東京スカイツリーのためにも、ゴジラ映画が復活してほしいものである。