今日はバトルロイヤル風間さんの誕生日。
将棋マガジン1994年3月号、バトルロイヤル風間さんの将棋バックドロップ」より。
愚考するに、将棋界には財産が二つある。林葉さんと谷川さん奥様、じゃなくて、いやそれもそーですが、「名人」と「王手」じゃないかと。
”将棋出身”のこの言葉が実によく世の中で使われております。これは将棋というジャンルのラッキーだと思う。その点、囲碁はかわいそ。
たとえば悪人どもの会話で、
「って具合に世界征服だ」
「おぬしは、陰謀の名人だな」
と言うとしまるが、
「って具合に世界征服だ」
「おぬしは、陰謀の本因坊だな」
じゃ、シャレになって、笑っちゃって世界征服もままなりません。
また新聞の見出しで、アンディ・フグという空手家が、格闘技グランプリの決勝に駒を進めた場合、
「フグ 王手!」はいいけど、
「フグ あたり!」は危険だ。
で、メガネベストドレッサーとかのよーに、私が独自に「’93ベスト名人」「’93ベスト王手」を選びました。
’93ベスト名人」は、智の花関。
なんだか名人みたいな趣に対し。
’93ベスト王手は、サッカー日本代表チーム。ワールドカップ出場への王手は見事だった。王手!! は・・・。
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ページの上三分の二は、黒服とサングラスの悪人が会話をしているイラストが描かれている。
1993年は、「ドーハの悲劇」(1994年アメリカワールドカップ・アジア地区最終予選で、試合終了間際のロスタイムにイラク代表の同点ゴールが入り、日本のワールドカップ初出場が確定するまでわずかな時間を残すだけの状況から一転して予選敗退が決まった)があった年だ。
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「ナボナはお菓子のホームラン王です」という有名な広告コピーがある。
これで試したらどうなるのだろう。
「ナボナはお菓子の名人です」
「ナボナはお菓子の本因坊です」
どちらも、しっくりと来ない。
もっと試してみよう。
「ナボナはお菓子の竜王です」
「ナボナはお菓子の王位です」
「ナボナはお菓子の王座です」
「ナボナはお菓子の棋王です」
「ナボナはお菓子の王将です」
「ナボナはお菓子の棋聖です」
「ナボナはお菓子のNHK杯です」
何か変だ。
ホームラン王も、例えば王座も、地位を示す称号なのに、野球のほうがピッタリとはまる。
「ナボナはお菓子の首位打者です」
は変ではない。
それほど、巨人軍の王選手の広告のイメージが強かったのだろう。
大山康晴十五世名人が亀屋万年堂のナボナの広告に出演していたのなら「ナボナはお菓子の名人です」が自然な響きとして聞こえるのかもしれない。