森内俊之名人にとっての負けて最も悔しい相手

将棋世界2002年8月号、「森内俊之新名人に聞く」より。

―森内名人、羽生竜王(四冠)、郷田棋聖、佐藤王将と、1982年に奨励会入りした棋士がタイトルを占めることになりました。森内さんは同期のライバルにどんな思いを抱いているのですか。羽生さんには最近、5連勝していますね。

「たまたま、そういう時期もあるということでしょう。羽生さんは将棋界の枠を超えているようなところがあって、本当にすごい人だと感心しています。一緒に将棋を指してこられて、自分は幸せだったと思いますね」

―負けると最も悔しい相手は、佐藤王将でしょうか。

「そうかもしれません。一番気心の知れた間柄なんですが、佐藤さんは勝ったとき、本当にうれしそうな顔をするんですよ。それを見ると、ムムムッと・・・。郷田さんは将棋を学問的に追求してきた代表選手のような人で、刺激を受けました。強いライバルたちが自分を引っ張り上げてくれた気がします」

―丸山さんや藤井さんとは年齢が同じですが、2人は奨励会入りが少し遅かったですね。

「丸山さんは新世代の棋士という印象があって、勝負に徹している厳しさを強く感じます。一方、藤井さんの考え方は、われわれ旧世代に近いような気がしますね。学問的要素と勝負のバランスという点では、若手棋士たちはもっと割り切っていて、勝負の面を重視しているのではないでしょうか」

(以下略)

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2002年、羽生善治四冠、森内俊之名人、郷田真隆棋聖、佐藤康光王将でタイトルが占められていた。

そして10年後の今年、森内俊之名人、羽生善治二冠、郷田真隆棋王、佐藤康光王将、渡辺明竜王・王座がタイトルを占めている。

10年前の姿に渡辺竜王が加わった形。

羽生世代が非常に盤石であることがよく分かる。

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このインタビューの当時、森内名人は31歳。

その若さで、自らを旧世代と称しているところが面白い。