羽生善治六冠(当時)「シーチキンをうどんに入れるのは工夫ですね」

将棋マガジン1995年5月号、山村英樹さんの第44期王将戦(谷川浩司王将-羽生善治六冠)第6局観戦記「三勝三敗、決着は最終局に」より。

 昼食は両者自室でだったが、メニューはともに「ひっぱりうどん」。注文を聞く時に谷川が「みなさんは何ですか」と問い、そう答えると「私もそれで」。羽生も「同じで」と答えた。独特の器に入ったざるうどんで、納豆、ネギ、玉子、シーチキンなどを好みに応じてめんつゆにつけて食べる。「シーチキンをうどんに入れるのは工夫ですね」と後で羽生が感心していた。

(以下略)

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この時の対局場は、山形県天童市の紅の庄東松館。

ひっぱりうどんは、山形県内陸部、特に村山地方の郷土料理で、茹で上がったうどん(主に乾麺を用いる)を釜や鍋からすくい上げて(ひっぱり上あげて)、そのまま納豆やサバ缶などで作ったタレで食べるスタイルのうどんだ。

家庭によってバリエーションが様々あって、たれや具に特に決まりはないということだが、最も一般的なひっぱりうどんは、醤油に納豆を加えたたれが基本。

これにサバの水煮(サバ缶)や生卵や薬味を加える。

納豆とサバのコラボレーションが絶妙という。

手間がかからず家で手軽に作れるメニューだ。

→山形県村山市 ひっぱりうどん研究所

ひっぱりうどん自戦記

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日本人は”納豆に醤油を入れてからかき混ぜる”派と”何も入れずに納豆をかき混ぜる”派の二派に分かれると言われる。

何も入れずに納豆をかき混ぜる派には、本当の納豆好きの人が多いようだ。

私などは、納豆に大量の刻みネギと辛子と醤油を入れて、ネギが全体に行き渡る程度にしかかき混ぜないという、納豆消極派。

かの北大路魯山人は、納豆を深い器で400回かき混ぜるのを良しとしたらしい。

納豆を400回以上、および1万回かき混ぜた時のレポートがある。

私には絶対にできない。

納豆を一万回混ぜる