将棋世界1994年1月号、棋士交遊アルバム「対談 宮崎彩子(女優)&先崎学五段&行方尚史四段」より。
スラリと伸びた足。見目うるわしい容貌。宮崎彩子さんの美しさは、写真を見てのとおり。だが彼女の顔と名前を知人は少ない。それもそのはずで、今年の春に女優として芸能界にデビューしたばかりだ。一方の行方四段もホヤホヤの新人棋士。そして宮崎さんと以前に某所で会って話をしたという先崎五段。ミスマッチとも思える三人の会話は、希望を乗せて楽しく広がっていった。
先崎 『SPA!』見ましたよ。巻頭のカラーグラビアを飾っていましたね。ところで、宮崎さんと前にお会いしたのは、米長先生の名人就位式の時でしたね。
宮崎 そうですね。将棋は指せませんが、棋士の方に興味があったんです。それで知人に誘われて、新宿の京王プラザでおこなわれた米長新名人の披露パーティーにいきました。
(中略)
宮崎 あの時は、すごい人出でしたね。私は知人に先崎さんを紹介されましたが、郷田さんともいろいろお話をしました。
先崎 行方クンは、当時まだ三段だったよね。
行方 ちょうど奨励会の対局日でした。8勝2敗で2位につけていて、その日の2勝が大きかったなァ。
先崎 四段に昇段して、初めて棋士として認められるんです。行方クンは、その直後の喜びの言葉がじつにユニークだったね(笑)。
行方 あっ、それはいわないで……。
―インタビューに答えて、いい女と話したい、それには羽生クンに勝たねば、といったんです。そんなわけで、本誌の交遊アルバム登場には少々早いけど、行方四段に出てもらいました。
宮崎 まァ、そうなんですか。おいくつですか。
(つづく)
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棋士とその棋士と交遊のある各界著名人との対談企画「棋士交遊アルバム」の第1回目。
宮崎彩子さんは、現在はアルゼンチンタンゴでも活躍している。
この頃は、先崎五段(当時)も行方四段(当時)もメガネをかけていた時代だ。
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宮崎さんの、
「私は知人に先崎さんを紹介されましたが、郷田さんともいろいろお話をしました」
が微妙にクールで面白い。
そして、先崎五段が仲の良い郷田五段(当時)のエピソードを話すわけでもなく(スペースの関係で割愛されているかもしれないが)、すぐに行方四段に振ってしまうところが、”三手の読み”と言えるのかもしれない。
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誌面では、行方四段の昇段時の喜びの言葉が、「いい女と話したい、それには羽生クンに勝たねば」と対談向けに説明されているが、様々な資料を探ると、
「羽生さんに勝っていい女を抱きたい」
「将棋に勝っていい女を抱きたい、その為には羽生さんに勝たなくては」
などの言葉が検索されてくる。
Wikipediaによると、マスコミに煽られて言わされてしまったということだが、どちらにしても、名言であることには間違いない。