米長邦雄永世棋聖・日本将棋連盟会長が、12月18日に前立腺がんのため69歳で亡くなられた。
通夜は12月23日日18:30、葬儀・告別式は12月24日午前10:30、いずれも東京都目黒区碑文谷1-22-22の円融寺示真殿で。
喪主は妻、明子さん。葬儀委員長は谷川浩司日本将棋連盟専務理事・九段。
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米長邦雄永世棋聖は、著書「われ敗れたり」で今年の将棋ペンクラブ大賞文芸部門大賞(ノンフィクション)を受賞されている。
今年の9月に発行された将棋ペンクラブ会報秋号より。米長邦雄永世棋聖の「受賞の言葉」より。
この度は大賞に小生の著作を選出して頂き、大変驚きもし、嬉しく思いました。有難うございました。
「われ敗れたり」は今年1月14日に行われたコンピュータ対局の自戦記、あるいは日記のような本です。対局日が決定した二ヶ月くらい前から、私がどのようにして対局に臨んだかという日誌と、何をどう研究したかという洞察、そして当日の自戦記の三部構成になっています。勝敗はどちらでも1月16日には本の出版にとりかかり、発売日は2月10日という、中央公論新社始まって以来の超スピードで出来上がった本でもあります。
「愛人のいないような男がコンピュータに勝てますか」という私の奥様の言葉は本当の話です。ただし、愛人というのは心の中に持てということだったことを悟ったのが対局の後だったのが、私の一生の不覚でした。
△6二玉について
技術的というか指し手で申し上げると後手番の私の△6二玉は好手か、奇手か意見の分かれるところです。この原稿を書いている時点ではプロは奇手と言い、コンピュータ将棋の関係者はいたく感動していると、評価は別れています。コンピュータ将棋はボナンザ系と、全く別のものとありますが、私が指したものはボナンザ系です。ボナンザ系以外のものには△6二玉は多分悪手となるのでしょう。
「思考の可視化」と題して、飯田弘之六段やコンピュータ将棋協会の人達と研究をしています。私の△6二玉は目下は最善であろうといわれている一手ですが、人間相手には悪手でしょうね。折角優勢を築きあげながら不覚を取ったのは残念でした。
(以下略)
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9月21日の将棋ペンクラブ大賞贈呈式、米長邦雄永世棋聖・日本将棋連盟会長にもご主席いただけた。
米長会長は、お痩せになってはおられたが、お元気で、スピーチの時には、参加された方々から会場が割れんばかりの拍手が起きていた。
この日の米長会長は、とても神々しい雰囲気だった。
泥沼が抜けて本来の「さわやか流」に昇華されたような感じがした。
その姿を見て、もっともっと、将棋界で活躍をしていてほしいと思った。
合掌
われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2012-02 |