羽生善治六冠(当時)が出演した「徹子の部屋」(前編)

近代将棋1995年7月号、明石寛さんの「平成棋士バラエティ 羽生名人、徹子の部屋に出演」より。

近代将棋1995年7月号より。

 今や棋士という枠を超えて好感度タレントになりつつある羽生名人が、5月3日の憲法記念日に、テレビ朝日の「徹子の部屋」(13:15~14:00)に出演した。

 当日は名人戦第3局の1日目。番組はもちろん録画である。これまで徹子の部屋に出演した棋士は3人である。升田幸三実力制第四代名人(1978年)、大山康晴十五世名人(1980年、1991年)、それに米長邦雄前名人が何度となく出演している。

 大山は升田の、米長は大山の追悼番組に、それぞれ出演している。

 羽生名人は白のスーツに、白地にエンジのストライプのネクタイ姿でさっそうと登場した。黒柳徹子はいつものマッシュルームカット、羽生は前髪をパラパラと垂らした変形坊ちゃん刈り。これを羽生カットと呼ぼうか。

 番組のテーマ音楽に乗せて、まずは人物紹介。黒柳が例の早口でまくしたてる。

 「ブリガリアヨーグルトと、おっしゃっている時は、どこの若いタレントかと、TOKIOかSMAPかと思ったんですが(笑い)。今日のお客様は将棋の名人、羽生善治さんです」

 「こんにちは。一目見た時は幼く見られますね(笑い)」

 六冠王に対して失礼な言い方になるが、今日の羽生は本当にかわいらしい。対局の際の険しい表情がウソのように相好をくずしっ放しである。その落差の著しさこそ強者の証なのだ。

 バックの白壁には人物画が掲額され、白いテーブルには淡い色彩の盛り花が飾られる。羽生の白いスーツと相俟って、さながら白尽くしの”徹子の部屋”。

 寛いだ雰囲気に包まれながら、羽生は黒柳の質問に対し、丁寧に応答する。幼少時を振り返っての、いわゆる予定調和の質問には、何度聞かれたことでも面倒くさがらずに正しく答えねばならない。それがスターの使命なのだ。これを怠ると、マスコミから強烈なしっぺ返しを食らうことになる。

 その昔、人気絶頂のザ・ビートルズのひとりが、海外ツアーの際に何度もされる同じ質問を嫌い、不貞腐れた態度で「もっと気の効いた質問ないの」と言ったものだから、報道陣のひんしゅくを買って叩かれた。

(中略)

 こうした件では取材する側の不勉強もままあるが、答える方は飽き飽きしていても、聞く方は初めてなのだ。その点、羽生は、「将棋を教わったのは父からではなく近所の友人からです」と、はっきり答えていて好感がもてる。

 少年時代の回想で最も注目を引いたのは”赤い帽子”の話である。小学生の時の夏休みの将棋大会。広いデパート会場で息子が将棋を指している時に、お母様は席を外して買い物に行く。そして戻ってきた際に善治少年を遠くからでも見つけやすくするため、広島カープの赤い帽子をかぶらせておいたのだ。

 羽生はニコニコ笑いながら当時の模様を振り返っていたが、この発想はユニークであり、普通の母親は思いつかない。どの母親もそうするなら、善治少年だけが目立つことはないのだ。「パッと見てパッと答えがわかる」ということだ。こうした分類、類型的な発想は限りなく将棋に通じるもので、羽生の将棋の才能は、母親譲りなのかもしれない。

(つづく)

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棋士のフルネームに”さん”をつけて呼ぶことがほとんどないので、「今日のお客様は将棋の名人、羽生善治さんです」という言い方がとても新鮮に感じられる。

黒柳徹子さんの声も聞こえてきそうだ。

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羽生善治六冠(当時)が明治ブルガリアヨーグルトのCMに出演したのは1995年の春から。

このCMでは、俳優の石田純一さん、モデルのりょうさんも同時に起用された。

明治乳業 、ブルガリアヨーグルトLB81で新CM(日本食糧新聞1995/03/24)

当時のポスター

明治ブルガリアヨーグルトは、1970年開催の大阪万博のブルガリア館で本場ブルガリアのヨーグルトが展示されたのを明治乳業の経営陣が試食し感銘を受けたのをきっかけに開発が始まり、1971年3月から発売されている。

そういう意味では、ブルガリアヨーグルトは、羽生三冠が生まれた年に商品化が開始されたということになる。

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はるか昔の日本のヨーグルトは、牛乳瓶を太くして口を広げ、高さを縮めた形の瓶に入っていた。

そのようなヨーグルトに新風を巻き起こしたのが、1969年から発売が開始された雪印「ヨグール」だった。

それまでの凝固タイプではなくソフトタイプであったことも斬新だったが、イチゴ、オレンジ、パイン、ミックスなど、果実が入っていたことも革命的だった。

広告には当時の人気アイドルだった岡崎友紀さんが登場した。

そのような時代に開発されたのが明治乳業のブルガリアヨーグルトだった。

無糖で今までになかった雰囲気の本格派プレーンヨーグルト。

発売当初は、「風味が変だ」「甘くないので不良品に違いない」といった問い合わせが相次いだというが、現在では日本国内のヨーグルト市場の3割を占めるトップブランドとなっている。

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ブルガリア料理は、当然のことながらヨーグルトを使ったメニューが多い。

東京都内には、ブルガリア大使館公認レストランがあるようだ。

ブルガリアンダイニング SOFIA

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中学生の時、ブラム・ストーカーの恐怖小説「吸血鬼ドラキュラ」を読んだことがある。

その中に、トランシルバニア地方の料理で、唐辛子で調理した肉料理が非常に美味しいと書かれていた。(→その記述

この料理を食べてみたい、と強く思った。

それ以来、私はルーマニア料理に心惹かれるようになったのだが、大人になって酒を飲むようになってからは、その思いがどこかへ飛んでしまっていた。

10年ほど前、そういうばルーマニア料理と思い、レストランを探して食べに行ってみようということになった。

しかし、調べてみると、私がドラキュラで読んだイメージの料理は、ルーマニア料理というよりはハンガリー料理に近いことが判明する。

そういうことで、ハンガリー料理のレストランへ行くことに。ドラキュラに出てくるようなメニューはなかったけれども美味しかった。

ルーマニア料理やハンガリー料理を調べている最中に他の東欧料理(チェコ料理、スロバキア料理、ブルガリア料理、ポーランド料理)のことも調べたが、私の中では東欧料理に対する憧れが続いている。

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