将棋世界1994年3月号、池崎和記さんの「昨日の夢、明日の夢 南芳一九段」より。
羽生善治が月刊「マルコポーロ」の1月号でこう語っている。
「将棋って強くなるのが難しいわりに、弱くなるのは簡単なんです。記憶力じゃなく、勘とか、とっさの判断力が重要でしょう。日頃からやってないと力が落ちちゃうんですよ。春先にちょっと暇になるんで、毎年旅行に行くんです。そのときだけ、1週間くらい将棋をやらないんですけど、旅行から戻ると、かなり落ちてるんですよ、力が。詰将棋のスピードなんか嫌になっちゃうくらい落ちてしまう。それでまた必死に戻すんですけど」
1週間、将棋(の勉強)をやらないと力が落ちる、と羽生は言うのだ。僕はこの言葉に少なからず衝撃を受け、佐藤康光に「あなたもそうですか」と聞いてみた。すると新竜王はこう言って、僕をもっと驚かせた。
「1週間どころか、3日やらないと落ちます」
空恐ろしいことを言う人たちである。裏返せば、佐藤も羽生も、毎日、勉強をしているということではないか。
(以下略)
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この文章を読んで、2日やらないだけならば力は落ちないのかもしれない、と思ってしまう私は、一生かかっても将棋が強くなれないのだろう・・・
マルコポーロ 1994年1月号(食の奥の手) 価格:(税込) 発売日:1994 |