棋士、それぞれの健康法

棋士にはどのような健康法が人気だったのか、分析をしてみたい。

将棋マガジン1994年11月号、第53期順位戦パーソナルデータより、それぞれの棋士の健康法。(タイトル・段位は当時、回答者数89人)

 〔睡眠〕 18人(20.2%)

佐藤康光竜王 十分な睡眠

石田和雄九段 ゆっくり休むこと

森下卓八段 睡眠、風呂

安恵照剛七段 美を眺める、歩く

富岡英作七段 よく寝ること

森内俊之七段 よく寝ること

井上慶太六段 早寝

日浦一郎六段 よく寝る

石川陽生五段 なるべく歩く、寝る

中田功五段 よく寝る

長沼洋五段 よく寝る

丸山忠久五段 疲れたら寝る

郷田真隆五段 よく眠る

藤井猛五段 よく眠る

飯塚祐紀四段 よく寝る

岡崎洋四段 よく寝る

杉本昌隆四段 充分な睡眠

北浜健介四段 よく寝る

よく寝るは最も手軽にできる健康法。佐藤竜王、森内七段、丸山五段、郷田五段、藤井五段と、羽生世代棋士のうちの5人がこの健康法を採用しているのが特徴的。

〔歩く〕 18人(20.2%)

有吉道夫九段 歩く

佐藤大五郎九段 散歩

勝浦修九段 歩くこと

佐伯昌優八段 ハイキング

西村一義八段 サウナ、散歩

田中魁秀八段 散歩

中村修八段 サイクリング、歩く

桜井昇七段 歩くこと

坪内利幸七段 歩く

菊池常夫六段 愛犬と散歩

森信雄六段 よく歩く

児玉孝一六段 ジョギング、歩く

阿部隆六段 体を動かす、大声を出す

関浩五段 歩くこと

伊藤博文五段 散歩

野田敬三四段 よく歩くこと

三浦弘行四段 散歩

行方尚史四段 昼過ぎの散歩

「歩く」は驚くべきことに「睡眠」と同数の18人。「歩く」も非常に手軽にできる健康法だ。三浦四段の散歩は、現在も続いている愛犬との散歩と思われる。行方四段の回答が印象的だ。

 〔スポーツ〕 18人(20.2%)

田丸昇八段 テニス、サイクリング、早起き

佐藤義則七段 エアロバイク、ゴルフ練習

脇健二七段 腰痛体操、ダンベル運動

桐谷広人六段 なるべく自転車を使う

泉正樹六段 ゴルフ

堀口弘治六段 歌うこと、水泳・睡眠

中田宏樹六段 運動

中川大輔六段 スポーツで汗を流す

屋敷伸之六段 テニス、ドライブ

先崎学六段 スポーツ、よく喋る

武市三郎五段 草野球、ボート

高田尚平五段 水泳

小倉久史五段 スキー、ドライブ

畠山成幸五段 ジョギング、腕立て、腹筋

畠山鎮五段 水泳

深浦康市五段 晴れた日のサッカー

窪田義行四段 ストレッチ

久保利明四段 連盟野球

何と「スポーツ」も、「睡眠」「歩く」と同数の18人でトップタイ。桐谷六段の「なるべく自転車を使う」が現在まで貫かれていると思うと嬉しくなる。

 〔飲食系〕 6人(6.7%)

森けい二九段 ミネラルウォーター、断食

東和男七段 日本酒を控える

村山聖七段 杜仲茶

武者野勝巳六段 暴飲暴食で胃腸を鍛える

大島映二六段 ばんざくろ茶を飲む

小林宏五段 酒

飲食系は、健康系と非健康系に大きく分かれるようだ。非健康系の気持ちもよくわかる。

〔ありそうなのに回答数が少なかった系〕10人(11.2%)

中原誠永世十段 真向法

高嶋弘光八段 家庭を大切にする

塚田泰明八段 勝つこと

河口俊彦六段 意志弱く何もできず

飯野健二六段 ストレスをためない

西川慶二六段 芝居鑑賞

沼春男五段 何もしていない

神吉宏充五段 笑う、笑わせる

伊藤能四段 快食・快便

豊川孝弘四段 特になし

複数人からの回答があってもいいような内容なのに、それぞれ一人ずつしかいなかった回答。豊川四段は自転車やジム通いなどをやっていたにもかかわらず「特になし」。ストイックだ。

 〔ゆとり系〕 4人(4.5%)

羽生善治名人 ゆとりある生活

内藤國雄九段 一人の時間を作る

小林健二八段 ひまを作ること

鈴木輝彦七段 一人の時間を作ること

時間的にゆとりのない状態は、たしかに様々な面で健康に悪そうな感じがする。

 〔マイペース系〕 7人(7.9%)

谷川浩司王将 嫌なことはしない

田中寅彦八段 やりたい事をやる事

土佐浩司七段 嫌な事はしない

小野修一七段 好きな事をやる

伊藤果六段 マイペース

大野八一雄六段 好きな人とだけ過ごす

真田圭一五段 話のわかる友人を増やす

やりたいことだけをやる、やりたくないことはやらない。 これは最も健康のために効果的な方法だと思う。私も「健康法は?」と聞かれたら、同じように答えるかもしれない。

 〔個性派〕 8人(9.0%)

米長邦雄前名人 美人とデート、笑うこと

高橋道雄九段 純

島朗八段 経堂でひっそり暮らす

木下晃六段 病気になる方法ならある

植山悦行六段 徹夜の後の睡眠

神谷広志六段 そういうことを考える年ではなくなった。

有森浩三六段 これから考える

浦野真彦六段 耳鼻科通い

個性派部門は、嬉しくなるくらいのユニークな回答の数々。

高橋道雄九段の回答が神秘的だ。