佐藤康光八段(当時)に降りかかった危機

将棋世界1997年5月号、佐藤康光八段(当時)の連載自戦記「森下システム復活か」より。

 先日、今年の初ラウンド。メンバーは理事も務められている滝七段と職員でありながら詰将棋作家としても有名な角さんと3人。

 3人共腕前はほぼ同じ、いい勝負で滝先生には既に永久スクラッチ(平手)を宣言されている。

 寒い冬のスタートだったが私は快調に行く。しかし徐々に乱れスコアが拮抗する。そして9番ホールで事件発生。

 ティーショットが終わり、2打目地点へカートで向かう。

 丁度となりのホールの組と交わる道になり、すれ違った瞬間、ガチャッといやな音が。運転していた私はいやな予感がした。何かと思えばとなりのホールの人のクラブのシャフトを折ってしまったのだ。

 さすがに初めての珍事で青ざめる。

 恐る恐る相手の顔を見るが親切な若いカップルで一安心。ちょっと間違えば大変なことになる所だった。

 後はおどおどする私を尻目に最近一段と交渉、話術に磨きのかかる滝先生と甘く、やさしい声で平身低頭される角さんに助けられ無事収まりホッ。

 ただしスコアはその後乱れたのは言うまでもない。

 そして2週間後、送られてきた請求書を見ると「サイン付きで」とあった。どうやら身元がバレていたらしい。

 とにかくお二人には深謝深謝である。

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もし相手がその筋の人だったなら、なかなか厄介なことになっていたわけで、佐藤康光八段(当時)の運は悪くなかったと言えるだろう。

ここに出てくる角さんは、後の将棋世界の編集長で、現在は詰め将棋書籍の編集・発行等を行っている角建逸さん。

愛嬌のある営業部長といった感じの滝誠一郎七段(当時)と温厚な紳士の角さんの組み合わせなら、このような状況では盤石だ。

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ゴルフ場内のカートは、運転免許を持っていないと運転ができないルールとなっている。(法的なものではなくローカルルール。免許を持っていない人が運転をして事故が起きた場合、保険不適用となる)

1990年代、電動カートのあるゴルフ場へ行ったことがあるが、運転免許を持っていない私は確実に運転をしていないはずだ。ボールが小刻みにか飛ばない(転がらない)ので、優雅に移動することなどは一度もなく、常に走りっぱなしだったから。

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私は運転免許を持っていないくせに、車を運転する夢をたまに見る。

運転はそこそこうまくいっているのだが、無免許運転をしているという後ろめたさが、夢を見ている間中続いている。

夢の中なのだから全然気にしなくていいのに、と思いながらも背徳感を抱え続けているわけで、夢を見終わった後、とても損をした気持ちになる。

もう一つ、私は泳げないくせに泳いでいる夢もたまに見ることがある。

泳いでいるんだからこれは絶対に夢だ、と自覚しながらも、夢の中で牛歩のようなスピードで川や海を泳ぎ進んでいる何の変哲もない夢。

もっと楽しい夢がローテーションに入ってくれると良いのだが。