近代将棋1988年2月号、「棋界mini情報」より。
先日、パンパンにふくらんだ紙袋をいくつもかかえて、将棋会館に現れた塚田王座と島六段。
その中身はというと、バーゲンで買い込んできた洋服だらけ。
この両名が12月某日、高校生トリオ〔羽生・佐藤(康)・森内〕を含む若手を引き連れて、メンズショップ巡りをして”男のおしゃれ”を教えたとのこと。
はたして、若手の服装のセンスが向上したかどうかは、諸兄の判断におまかせするしかない。
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渡辺明棋王は竜王のタイトルを取った頃、中川大輔八段にスーツを選んでもらったことがあるという。
中川大輔八段も昔からかなりお洒落だ。
NHK杯戦の解説の時には、ネクタイと同系統のポケットチーフを胸に入れている。昨年の秋と今春、中川八段はNHK杯戦で解説を務めており、その2度とも観戦記は私だったので、とても強く覚えている。
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佐藤天彦八段がお洒落なのは広く知られていることだが、私が感心しているのはネクタイピン。
ネクタイピンは1980年代頃からオヤジっぽいと敬遠されてきており、若い人がネクタイピンをすることは珍しいのだが、佐藤天彦八段はネクタイピンをうまくコーディネートしており、お洒落さをさらに増幅させている。
私は2013年の春と今年の夏、NHK杯戦で佐藤天彦八段の対局の観戦記を担当させていただいているが、2回とも佐藤天彦八段はネクタイピンをしていた。
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新宿の酒場で偶然遭遇した時の勝浦修九段も非常にお洒落に感じた。
何気ないポロシャツを着た近所に出かけるような普段着で一人カウンターで飲んでいるのだが、なぜか格好いいのである。
将棋界で「七人の侍」をやるとしたら、久蔵(宮口精二さんが演じた)役は絶対に勝浦九段だと思う。