升田式石田流の序盤、1図のような局面になることが多い。
ここから▲2二角成△同銀▲8八飛(2図)と、飛車をぶつけるのが定跡。
▲8八飛。この手を何度指したことだろう。
石川陽生七段は、将棋世界2009年12月号、勝又清和六段の「突き抜ける!現代将棋 -果てしなき石田流ロマン-」で「羽生将棋を真似するのはプロでも難しい。 だけど、歩を2回突けば升田将棋を真似できる。 早石田の魅力はそれでしょう」と語っている。
▲8八飛。指すたびに石川七段の感動的な名言が頭の中に浮かんでくる。▲8八飛はまさに升田流の一手で、指すたびに升田将棋の真似ができていると実感できる一手。
しかし……
ネット将棋では、非常に稀に、1図からの▲2二角成に△同玉(3図)とされることもある。
まさか相手が△2二同玉と取るなどとは全く考えられないことなので、相手陣を確認せずに「これが升田将棋だ!」と独り言を言いながら▲8八飛(4図)。
……3図では▲7七角の王手飛車ができたわけで、先入観からの▲8八飛。
別に先手が悪くなったわけではないが、チャンスを逃した精神的ダメージは大きい。
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先日、この棋譜のような間違いをしてしまった。
9月19日(土)、私は用事があって仙台へ行かなければならなかった。
ところがこの日から連休中の4日間、人気グループの「嵐」が仙台市に隣接する利府町でコンサートを行うことになっており、新幹線などは非常な混雑が予想された。
→嵐の宮城コンサートに悲鳴 宿が満員「平日やって」(東スポWeb)
仙台までは新幹線でどんなにかかっても2時間、最悪立ちっぱなしでもどうにかなる距離だが、座れるに越したことはない。
前夜の将棋ペンクラブ大賞贈呈式のパーティーの時にG藤元気さんにこのことを話すと、「超満員で阿鼻叫喚の車内で立つようになるか、あるいは隣の席に嵐ファンの素敵な女性が座るか、それは日頃の森さんの行いによるでしょうね」と、G藤さんは少し酔っ払いながらもいつもの落ち着いた声で言っていた。
日頃の行いか…
9月19日(土)は15時10分頃に東京駅に着いた。15時台は仙台に向かう新幹線が意外なほど少なく、やまびこ57号(15時36分発)があるのみ。
自由席の乗り場に行くと、並んでいる人は思ったよりも少なく、確実に座れそうだった。
これで隣に素敵な嵐ファンの女性が座ってくれれば、G藤理論によると、私の日頃の行いは良かったということになる。
まあ、そんなに世の中は甘くないだろうから、座れただけで良しとしよう、などと考えている間に発車時刻が近づきドアが開いた。
すると、私が並んだ列の人達ではなく、隣の列の人達が乗り込んでいる。
全身から血が引いていくような感じがした。世の中はもっと甘くなかった。次発列車(15:52発の北陸新幹線はくたか569号)のところに並んでしまっていたのだ…
私はあまりこのような失敗をした経験はないのだが、
- 通常、先発列車の列の方が次発列車の列よりも多くの人が並んでいる。
- 嵐のコンサートがあるから仙台へ向かう新幹線自由席に多くの人が並んでいるはずだ。
ということから、ノータイムで長い列の方に並んだのだった。
並んでいた人達が乗車し終わってから自由席を見ると乗車率110%ほど。仕方がないので6号車(指定席)のデッキに立ち続けることにした。
日頃の行いか…
立ちながらやった将棋ウォーズでは負け続け、さらに気分はブルーになった。