居飛車党の麻雀と振り飛車党の麻雀

将棋世界2000年9月号、鈴木大介六段(当時)の「鈴木大介の振り飛車日記」より。

 棋士の場合、麻雀と将棋の棋風が似ている人が多く、特に大きく分けると居飛車党の人の方が先崎八段をはじめ駒の損得に厳しく麻雀でも理論的な現実主義が多い気がする。

 逆に振り飛車党の人は中田(功)六段を筆頭に近藤四段、田村四段、そして僕、といい加減な麻雀で捌きを得意とする人が多く、この手のタイプにはメンホン、メンチン好きが多く(僕も手が悪いとすぐメンホンチートイに向かうクセがある)皆様も打つ機会がある時に役立てて欲しい。

(以下略)

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煙草の煙だらけの深夜の雀荘で無頼派系の棋士達が麻雀をしていたとしても、そこで繰り広げられている勝負では同じ無頼派系でも大いに棋風が異なるという話。

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居飛車党の麻雀が理論的で現実主義とすれば、振り飛車党の麻雀は手作りに邁進する理想主義ということになるのかということなのか。

現実主義の麻雀の棋風とは、良い役を目指すよりも上がりの早さを優先するタイプ。ポンとかチーを序盤からやってくる。

理想主義の麻雀の棋風とは、手が伸びそうなら上がりの早さよりも上がった時の点数を大きくしようというタイプ。そういう意味ではポンやチーはやらないので、振り飛車党の麻雀はメンホン、メンチン好きということになるのだろう。

序盤、居飛車側がどんな手を指してこようが、脇目も振らず美濃囲いを組み上げることに邁進する、というようなところが、振り飛車党の麻雀の棋風に結び付いているのかもしれない。

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大山康晴十五世名人の麻雀の棋風は、ポンやチーをたくさんするような上がりの早さ最優先の麻雀であったという。一言で言えば落ち着きのない超現実主義。

鈴木大介六段(当時)が書いている振り飛車党の麻雀の棋風の正反対だが、これは、大山十五世名人が若い頃は居飛車党であったことと関係している可能性もある。

奥が深そうな世界だ。