藤井猛九段「おかしいなー。この変化に自信があるから、羽生さんはこっちを持って指したはずなんだけどなー」

将棋世界2003年8月号、関浩五段(当時)の「公式棋戦の動き 第51期王座戦」より。

 7図、早めの9筋位取りに丸山が急戦を仕掛け、多少の手順の前後こそあれ、名人戦第3局と同一局面になった。

 名人戦はここで▲3二歩だったが、本局は▲4五銀△同銀▲同飛△3四銀▲4八飛△4五歩▲3二歩△4一飛▲2四歩△同歩▲3一歩成△同飛▲3七桂△2五歩▲4五桂△1五角▲4三銀(8図)と進み、先手有望に展開した。

 手順が長くて恐縮だが、銀交換から△4五歩とフタをされたところが先手の腕の見せどころ。どうやって攻めの継続を図るかが問題だが、丸山は垂れ歩、突き捨て、右桂活用でこれをクリア。特に飛車を逃げない8図の▲4三銀が藤井の意表を突く好手だったという。対して△4八角成▲同金△4五銀は▲5二銀成△同金▲4三歩成△同金▲2二角成で、後手のほうが飛車の逃げ場に困る。

「おかしいなー。この変化に自信があるから、羽生さんはこっちを持って指したはずなんだけどなー」と訝る藤井。途中、変化するなら△2五歩で△3六歩▲4五桂△3七歩成だが、▲4六飛△3五銀▲3三桂成△4六銀▲4三歩成でやはり先手有望。結局、ここでついた差は最後まで埋まらず、丸山の勝ち。

 それにしても7図で▲4五銀は第一感であり、前例もある一手。果たして羽生の秘策は何だったのか―。

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この年の名人戦第3局〔森内俊之名人-羽生善治竜王〕では、7図から▲3二歩△4四角▲同角△同飛▲5五角△7四飛と進み、以下、振り飛車を持った羽生竜王が勝っている。

熱戦だったため、その時の将棋世界を見ても、7図から▲4五銀の変化については触れられていない。感想戦でも出なかったのだろう。

羽生竜王が用意していたのがどのような手順だったのか、ぜひ知りたいところだ。

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ちなみに、この丸山忠久棋王-藤井猛九段戦は、丸山棋王(当時)の、友達を非常に高い確率で無くすような激辛な指し手が続き、投了図は次の通り。

2七の銀も3八の金も、後手の竜をいじめるために打たれたもの。

 

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