「名前が同じケンジで、しかも生意気なことも言って、とにかくよくしゃべる」

将棋世界2003年6月号、神崎健二七段(当時)の「本日も熱戦 関西将棋」より。

 竜王戦6組で大活躍の今泉健司準アマ竜王。今泉君が小学生の頃、関西研修会幹事の浦野七段がこう言った。

「研修生に神崎二世がいる」

「ほほう、そんなに素晴らしい才能の持ち主がいるのか」と聞いたら、

「名前が同じケンジで、しかも生意気なことも言って、とにかくよくしゃべる。神崎君の少年時代にそっくりなんや」(ガクッ)

 その少年は、その後、小林ケンジ門下となり奨励会に入会。生意気にひと言多かったりして、師匠にお叱りを受けることも何度か。苗字の読みで「コンセン」と皆から呼ばれ親しまれていた。

 三段リーグ在籍は11期。何度か昇段争いにも加わり、もう少しで四段というチャンスもあった。周囲の棋士からの評価も高かったが、残念な次点も含めて、あと一歩及ばず、平成11年秋に退会。

 退会して少し経ってから「奨励会にいる間はお世話になりました」という丁寧な手紙が来た。生意気なひと言多い少年ではなかった。

 それからしばらくして各大会で活躍。準アマ竜王ともなり、竜王戦への出場権も獲得。ちょうど筆者の自宅近くに引っ越してきたらしいので、昨秋、少し長めの持ち時間で久々に一局。

「将棋大会に合わせて早い持ち時間のスタイルに将棋が変わってしまったのだなぁ。昔の三段リーグはこんなスタイルで指していたんだなぁと懐かしく思い出した」

 秒読みになってこちらは乱れたので、「失礼ながら、神崎先生はそのスタイルでは、アマの大会を勝ち抜くのはとても無理でしょうね」

 ズバリ当たってはいるけれども、やはりひと言多いのが昔と変わらず。そういうところがまた少し嬉しかったりする。だから「持ち時間が5時間もある将棋がじっくりと指せるのが楽しみ」とも…。

 今回、見事に3勝。中尾四段がプロの意地を見せて6組ベスト4進出はならなかった。でも、コンセンは、たっぷり4局、持ち時間5時間の対局を楽しめたことだろう。

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今泉健司四段は奨励会の頃から楽しいエピソードが多かった。

相手のミスを突いて攻める習性

年齢制限で退会後も、このように話題になっているのだから、本当に人気者である。

そして、この4年後、今泉健司アマ(当時)は新たに創設された奨励会三段編入試験に合格。この奨励会在籍中に、2手目△3二飛戦法により升田幸三賞を受賞するという快挙があったが、奨励会三段リーグで4期内に昇段することができず、規定により退会。

さらにその6年後の2014年、プロ編入試験受験の条件を満たしたので、プロ編入試験にチャレンジ、見事に合格を果たす。

今日の神崎健二七段(当時)の文章を読むと、今泉四段のこの後の四段になれるまでの11年間が、より一層感慨深く感じられる。

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将棋界で「ケンジ」は、小林健二九段、神崎健二八段、今泉健司四段以外に、脇謙二八段、飯野健二七段がいる。

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2002年の竜王戦での大盤解説で、小林健二九段は「小林健二と脇謙二(立会人)でWけんじ」と話したと伝えられている。

Wけんじは、東けんじ、宮城けんじによる漫才コンビで、昭和40年代前半に非常に人気があった。

2002年の時点でWけんじの名前を知っている将棋ファンの方がどれくらいいたかはわからないが、なかなか踏み込みの良い思い切ったネタだと思う。

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