将棋世界2004年12月号、関浩六段の「公式棋戦の動き」より。
〔NHK杯〕
10月は5局が放送され三浦、中原らが3回戦進出を決めた。
1図は三浦-行方の中盤戦。
△8六角成は▲6六角があって不可。行方はひねりを利かせて狙いを果たすが、実戦は△6六歩▲7三歩成△8六角成▲6六銀△3三桂▲7五銀△8五飛▲2三飛成△同玉▲8六銀以下、三浦の勝ち。
途中、▲7三歩成に△6七歩成▲同金△9九角成なら大きな駒得だが、▲7五角で後手つらい。本譜も桂損ながら、先手が十二分に捌いた格好だ。
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三浦弘行九段は奨励会時代は振り飛車党だった。
→行方尚史四段(当時)「荒削りだった三浦君の十八番だったんですよ」
そういった意味では、奨励会時代に戻ったような三浦弘行八段(当時)と行方尚史七段(当時)の一戦。
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1図で△7四同飛あるいは△7四同歩だった場合の変化はわからないが、△6六歩からの行方七段の攻撃。▲7八銀と引かせてから△8六角成の狙い。これなら王手飛車取りがかからない。
それに対する▲7三歩成(2図)が大胆だ。
たしかに、この図になってみれば△6七歩成▲同金△9九角成なら▲7五角で飛車を取れることが見えてくる。
以下、△8六角成▲6六銀△3三桂▲7五銀(3図)。
ギリギリ突っ張った、崖から落ちている最中に鉄砲を撃つようなハラハラするような展開。
ここから△8五飛▲2三飛成△同玉▲8六銀(4図)
以下、△8六同飛▲4六角△3二玉▲6三歩△6一歩▲2四銀と進んでいる。
踏み込みの良い居飛車の戦いを見ているような気持ちにさせられる三浦八段の振り飛車の捌きだ。