棋士達の歌舞伎町信号伝説

今年の5月29日に亡くなられた元・近代将棋編集長で将棋ペンクラブ幹事の中野隆義さんから、このブログのコメント欄に寄せられた数々の棋士のエピソードより。

ツイてるツイてないで思い出しました。
新宿の大ガードを西口の方から抜けて歌舞伎町に入る当たりに信号機がありまして、その信号待ちを塚田泰明は一度もしたことがない! という表伝説がありました。それを聞いた私めは、そう言えば俺もあの信号で待たされたことないよなーと気づきまして、それからというもの通るたびにカウントしましたら五回目くらいに簡単に敗れ去り、やはり泰明流はすごいと思ったものです。
これには、裏伝説もありまして、同じ信号を渡ろうとして、かつて一度として歩行者青の状態になっていたことがない! という記録を植さんこと植山悦行は持っていました。まあ、普通に考えればツイてないやつということになるんでしょうが、実際にやろうとしてもなかなかできることではないので、ツイていないのかツイているのかの判定は実はヒジョーに難しいのではないかと愚考しております。

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塚田泰明九段、植山悦行七段とも、今でもこの伝説が続いているのかどうか。

続いているのだとしたら、この二人が一緒にこの信号の所へ行ったらどうなるのか。

やはり、ニコ生でこの二点を検証する番組を作ってほしいと思ってしまう。

 

 

 

中村修九段が開発者、三浦弘行九段が開拓者のトーチカ

将棋世界2004年8月号、アサヒスーパードライの広告「新手が生まれる時 三浦弘行八段」より。

升田幸三賞獲得のトーチカ

 七冠完全制覇を成し遂げた羽生から初めてタイトルを奪い取った棋士として知られる三浦弘行八段。宮本武蔵に例えられる風貌と豪腕の持ち主は、また創意と工夫の人でもある。

 居飛車が▲8九玉型に囲うトーチカは、藤井システムが猛威を振るう時代に居飛車穴熊に代わる囲いとして登場してきた。その最大の特徴は駒組み段階の危険を避け、易しくかつ堅く囲えることだ。

「元々は中村修八段が指されていた作戦に興味を持って指してみたもの。一つの戦法というより、振り飛車に対する新しい考え方と言えるかもしれません」と三浦八段。作戦の開発者が中村八段なら、開拓者が三浦八段と言えるだろう。

 図の局面、先手の狙いは①▲6五歩②5筋の歩交換③将来の▲5二歩の垂らしの3つ。実戦もその▲5二歩が実現して先手の快勝に終わる。この対局をきっかけにプロ間で▲8九玉型が大流行。トーチカは現代将棋の進化を象徴する新戦法と評され、開拓者・三浦も升田幸三賞を受賞することになった。

平成11年10月4日、三浦弘行八段と藤井猛竜王の対戦。▲3七角以下は△7三角▲5五歩△同歩▲同角と進み、117手で先手勝ち。
広告の写真

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今日放送されたNHK杯戦 中村修九段-三浦弘行九段戦で、三浦九段がトーチカに囲いました。

トーチカは対振り飛車の作戦で、相居飛車で現れることは非常に珍しいのですが、三浦九段は過去にも経験があるというでした。

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中村修九段はトーチカについて「高橋道雄九段の矢倉の将棋を参考にしました」と語っています。

このこととは直接的な関係はありませんが、トーチカの名付け親は高橋道雄九段です。

「三浦囲い」か「トーチカ」か「かまぼこ囲い」か「ミレニアム囲い」か

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ちなみに、解説の塚田泰明九段が2015年の升田幸三賞特別賞を受賞した「塚田スペシャル」も一番最初に指したのは中村修九段。塚田泰明九段が、研究会で当時の中村修九段が指しているのを見て、それから指し始めるようになったと伝えられています。

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そういうわけで、今日のNHK杯戦、中村修九段-三浦弘行九段戦(解説:塚田泰明九段)の観戦記を書かせていただきました。

対局前の控え室でのこと、感想戦や後日の話など、テレビには映らなかった部分も盛り込んでいます。

2月発売のNHK将棋講座3月号に掲載されますので、ぜひご覧ください。