将棋マガジン1990年8月号、神吉宏充五段(当時)の「へえへえ 何でも書きまっせ!!」より。
6月3日の日曜日、囲碁・将棋ウイークリーのゲストは米長王将。解説は名人戦の第5局。そう、谷川名人の完敗譜である。
番組が終わって米長王将はこう言った。「名人、今日のウイークリーはさすがに辛くて見ていないだろう。自分の完敗した将棋なんか見たくないものな。どうだ、見てるか見てないか、1000円賭けないか」
すぐに名人の自宅にTEL。「もちろん見てましたよ」それを聞いて米長「オレの負けだ!しかしよく見てたものだなあ。これを見れるという事は、その精神力からして谷川名人の防衛しかない」そう断言した。
それを名人に伝えると「はあ、でも名人戦の解説だけは見なかったんですけど……」
(以下略)
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人生、気がつかないだけで、このようなことが多いのかもしれない。