2001年宇宙の将棋マガジン

将棋マガジン1991年9月号、バトルロイヤル風間さんの「将棋リングアウト 2001年宇宙の将棋マガジン」より。

 時間旅行から帰ってきたという友人から一冊の雑誌をもらった。将棋マガジン9月号、2001年の。

 表紙は大山先生だ。国民栄誉賞とノーベル将棋賞(!?)を同時受賞したシーンが僕の絵で描かれている。うれしー!!涙が出てきた。そんなに大山先生が好きなのかって?僕の仕事が続いてたからですよ!

 表紙をめくる。何だこりゃ、宇宙船の中で浮いている羽生と屋敷がいる。何々、第59期名人戦第1局はスペースシャトルで行われた、だって。羽織、袴はヒラヒラするし、駒、盤が無重力で宙に浮いて大騒動だった、だと。志村けんのコントだね。

 パラパラめくる、と『森田一義道場、タモリの将棋でいいとも』なんてのがある。安部譲二、欽ちゃんの流れをくむ企画だな。テレビの「笑っていいとも」終わっちゃったのかね。読もうとしたら記事がない!? ソノシート型コンパクトレーザーディスクとやらがついている。かける「なお昼休みはパチパチショーギング、あちパチこちパチいい手が~♫」歌とともに”いいとも将棋隊”踊ってる。タモリ登場。「谷川さんの紹介で、南芳一さんです!」ふーん、トーク番組そのものが付録になってるわけだ。将棋をはじめたぞ。将棋をしながら語ろうという趣向か。四枚落ちね。……。あれ二人ともぜんぜんしゃべらないぞ。南さんが無口なのわかるけど……。タモリってゴルフとか妙にマジでやるからなぁ。あ、南勝っちゃった。「ではお友達を紹介してください」「……」「あのーお友達を」「………」「何か言ってくださいよぉ」「………」「紹介していただけないので、これで最終回となります……」トホホ、なんか情けない。LDにする意味がないよーな。ったく、高橋和を紹介すりゃいーのに!和ちゃん24だよね、まだ!

 さらにめくる。ほー、竜王戦はすべて公開対局になったのか。第1局が東京ドーム、その後、大阪城ホール、札幌ベアーズ球場、名古屋将棋ドーム……。新しい建物ができてるらしい。

 めくる。『ドキュメント’01』げげっ、先崎、神吉が独立団体を旗揚げだってー!?  囲碁・チェス・モノポリー・野球拳の選手と異種格闘戯戦!?大阪お祭り広場デノメインエベントが、先崎VS神吉のノーロープ有刺鉄線トリカブトぐるぐる巻き電流爆破鉄盤タコ焼き駒デスマッチだってー!?でもって、この試合に、先崎は棋士文豪位を、神吉は将棋スーパーヘビー級のタイトルをかけるのか!うーん、見たい!!

 めくる。アマ名人戦の茨城県代表に、超ウルトラスーパーファミコンの将棋ソフトがなる。決勝戦で将棋新聞編集長敗れる。

 めくる。『対局日誌』は当然続いております。凄い。ネタはA級順位戦最終局。「凄い。夢を見ているような将棋だ。A級残留を決めたこの一局は、大山後半生の傑作というべきだろう」文章も凄いが、対象が凄い!

 めくる。『いち姫 ニッコリ さんま焼く』若奥様の料理コーナーになっちゃったよ。

 めくる。『忘れさせない局面』もう忘れたくてやっと忘れた局面を、大山先生がホストで無理やり思い出させてるぞ!!

 めくる。『形のモメ帳』21世紀まで書けばモメることもあるでしょう。

 めくる。『つれづれ方丈枕の黙示録』すごい境地に入ったみたいですね、鈴木さん。

 めくる。『私の愛する棋士達・風間直子』ん、何だ?この写真は確かに林葉さんだけど、苗字が違うぞ!何があったんだ!?(このオチが書きたいばっかりに、エンエンと書いてしまいました。ハハ……許して)

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今から28年前に行われた18年前の予想。

もちろん当てようと思って書かれているわけではないが、あまりにも当たっていないのが、むしろ清々しさを感じる。

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何より、将棋マガジンがこの5年後に休刊となっている。

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『いち姫 ニッコリ さんま焼く』は、清水市代女流三段(当時)の将棋質問箱「いち姫ニッコリ答えます」の未来形。

『形のモメ帳』は、高橋呉郎さんの「形のメモ帳」の未来形。

『つれづれ方丈枕の黙示録』は、鈴木輝彦七段(当時)の「つれづれ随想録」の未来形。

『忘れさせない局面』は「忘れ得ぬ局面」の未来形。

”もう忘れたくてやっと忘れた局面を、大山先生がホストで無理やり思い出させてるぞ!!”

たしかに、このような恐ろしい企画があったら、絶対に面白かったに違いない。