先崎学五段(当時)「ある時スポーツクラブで量ったところ、郷田と全く同じ体重だった記憶がある」

将棋世界1992年6月号、先崎学五段(当時)の「先チャンにおまかせ 上山温泉、肩凝り地獄」より。

 今では信じられないことだが、昔、僕はガリガリとまでは言わないが、かなり痩せていた。4年前に四段になった頃は52kgぐらいで、ある時スポーツクラブで量ったところ、郷田と全く同じ体重だった記憶がある。明日を考える余裕よりも今日食べる一杯の立食蕎麦の方が大事だった奨励会時代の様々な想いが、52.6という緑色のデジタル数字とともに、鮮やかに蘇ることがある。当時まだ三段だった彼の、なにか振り切れないうつむいた表情とともに。

 それから1年余で僕は10kg以上太った。連日連夜酒を飲み、それだけならまだしも、飲む前に食い、飲みながら食い、飲み終わってから必ずラーメンとぎょうざを食う生活を続ければ10kgぐらいは不思議ではないが、前年のズボンが、どんなに頑張ってもファスナーが締まらないのには眩暈を覚えた。新宿のブティックで、惚れている女の子にウエストを測ってもらい、機械的な声で「81cmですね」と言われるたびに頭が痙攣をおこし、次の日頭の中でその声が聞こえて、おもわずプールに泳ぎに行くが、やはり夜は飲んでしまうのだった。

(以下略)

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痩せていた頃の先崎学新四段。将棋世界1987年12月号より。

将棋世界1988年3月号より。

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20歳前後に50kg台だったとしても、社会人になった途端に60kg台にすぐになってしまう場合が多い。

理由はいろいろあるのだろうが、やはり酒を飲む機会が大幅に増えるのが原因としては一番大きいのかもしれない。

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それにしても、先崎学四段(当時)と郷田真隆三段(当時)、小数点以下1位まで同じ体重だったとは、なかなか珍しいケースだと思う。

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「明日を考える余裕よりも今日食べる一杯の立食蕎麦の方が大事だった奨励会時代の様々な想いが、52.6という緑色のデジタル数字とともに、鮮やかに蘇ることがある。当時まだ三段だった彼の、なにか振り切れないうつむいた表情とともに」

非常に感動的な文章だ。

郷田三段の、写真のような表情だったのだろうか。