将棋マガジン1992年10月号、「将棋おもしろ雑学事典」より。
1.大山のタイトル獲得は80回
- 大山康晴十五世名人 80
- 中原誠名人 64
- 米長邦雄九段 18
- 谷川浩司竜王 16
- 加藤一二三九段 8
(1992年7月20日現在)
タイトル獲得数は当然のように大山が80回でトップ。内訳は、名人18、九段・十段14、王将20、王位12、棋聖16、連続獲得記録として名人の13期、王位の12期、九段・十段の10期をはじめ多数。タイトル戦登場は112回だから獲得率は7割を越える。
(中略)
大山を追う中原は64回。名人15、十段11、王将7、棋聖16、王位8、棋王1、王座6。大山の80回にどこまで迫れるか興味深い。
現在四冠王の谷川が大山の記録を破るには、向こう22年間、三冠王のペースで勝ち進まねばならない。その時谷川は52歳となる。
名人経験者では木村義雄十四世名人8(すべて名人)升田幸三実力制第四代名人7(名人2、九段2、王将3)塚田正夫名誉十段6(名人2、九段4)となっている。
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「現在四冠王の谷川が大山の記録を破るには、向こう22年間、三冠王のペースで勝ち進まねばならない。その時谷川は52歳となる」
この時点でタイトル獲得回数が16回の谷川浩司四冠(当時)でさえ、22年間も平均三冠王でなければ追いつかないという大山康晴十五世名人の大記録。
気が遠くなるような感覚に襲われるが、その記録を破ったのが、この時点でタイトル獲得数が3(竜王1、棋王2)だった羽生善治九段。
2012年07月06日に、棋聖戦五番勝負第3局で中村太地六段(当時)に勝って、タイトル獲得数81としている。
この将棋マガジンの記事から20年後のこと。
羽生棋王(当時)はこの頃も、ものすごい勢いで勝ち続けていたけれども、誰もそこまでは考えていなかったと思う。
それほどまでに、この当時から見れば、タイトル獲得数80は考えられないような数字だった。
〔現時点でのタイトル獲得数トップ5〕
- 羽生善治九段 99
- 大山康晴十五世名人 80
- 中原誠十六世名人 64
- 谷川浩司九段 27
- 渡辺明三冠 25
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2.大山の1433勝を追う加藤
- 大山康晴十五世名人 1433
- 加藤一二三九段 1076
- 中原誠名人 1017
- 米長邦雄九段 935
- 有吉道夫九段 893
- 内藤國雄九段 874
- 二上達也九段 856
(1992年7月1日現在、1953年度以前は順位戦のみ)
通算勝星記録もやっぱり断トツだった大山十五世名人。それも大山の20~40代は現在より棋戦の数がぐっと少なかったのだから改めて恐れ入る次第だ。大山を追うのは加藤と中原だが、350勝以上も離れた大記録を破るのは難しい。
(中略)
さて現在305勝の羽生善治棋王が大山の記録を破るには年平均40勝ペースで、29年かかる。その時羽生は50歳だから、かなり現実味があるとみられる。
(以下略)
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羽生九段が通算1434勝を達成したのは、2019年06月04日 、第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで永瀬拓矢叡王に勝った時。
この時の「年平均40勝ペースで29年かかる」よりも2年早く記録を破ったことになる。
あらためて、本当に偉大な記録だと思う。
〔通算勝数ベスト10(2019年6月4日対局分まで)〕
- 羽生善治九段 1434勝591敗 0.708
- 大山康晴十五世名人 1433勝781敗 0.647
- 加藤一二三九段 1324勝1180敗 0.529
- 谷川浩司九段 1318勝846敗 0.609
- 中原誠十六世名人 1308勝782敗 0.626
- 内藤國雄九段 1132勝1000敗 0.531
- 米長邦雄永世棋聖 1103勝800敗 0.580
- 有吉道夫九段 1088勝1002敗 0.521
- 佐藤康光九段 1032勝628敗 0.622
- 桐山清澄九段 993勝933敗 0.516
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