将棋マガジン1995年9月号、読者の灯籠欄「コマゴマ掲示板」より。
私は20歳の学生です。私のような学生をはじめ、20代30代の女性の間でなぜこれほどまでに「将棋(羽生?)ブーム」が起きたのか考えてみました。もちろん将棋というもの自体のおもしろさもありますが、それ以外に対局している棋士の「美しさ」があると思います。羽生さんや谷川さん・米長さんなど棋士の皆さんが、和室で和服を着て息詰まるような静けさの中熱い戦いを繰り広げているのを女性の視点で見ると、男の人ならではの「美しさ」を感じずにはいられないのです。髪をかきあげたりするなにげないような仕草とか表情、和服からのびた腕がスッと駒を運ぶ瞬間の色気など。
特に羽生さんは普段はおとなしくさわやかな青年という感じなのに対局中はすごい気迫で、あのきれいな瞳で相手をジロリとにらむ目つきにはゾクッとするものがあります。女性ファンの中には、このストイックな世界の色気に魅せられた人も多いのではないかしら、と思います。
ところで谷川王将が平成教育委員会に出ていることを知った時の私の驚きといったらスゴイものでした。おもわず「あーっ」と叫んでしまいました。なんか見ている方がハラハラしてしまいました。でもさすが谷川王将、トップでしたねー。
やっぱり基本的に棋士は頭の良い人なんですね。それに久々に谷川王将の声を聞きました。嬉しかったです!!
(新潟市 Kさん)
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「私は20歳の学生です。私のような学生をはじめ、20代30代の女性の間でなぜこれほどまでに「将棋(羽生?)ブーム」が起きたのか考えてみました」
現在の藤井聡太二冠ブームは、藤井聡太二冠と同じような歳のお子さんを持つ女性にまで広がっているので、この当時よりも層が厚いかもしれない。
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「和室で和服を着て息詰まるような静けさの中熱い戦いを繰り広げているのを女性の視点で見ると、男の人ならではの美しさを感じずにはいられないのです。髪をかきあげたりするなにげないような仕草とか表情、和服からのびた腕がスッと駒を運ぶ瞬間の色気など」
それまでほとんど誰もが気づいていなかった棋士の強み・セールスポイントが、女性ファンのおかげで明らかになった。
明らかになったからといって、棋士が特別に変わったりするわけではないけれども、2010年代になってニコ生やAbemaTVで対局の中継が多く行われるようになって女性ファンが増えたのは、自然な流れだったのかもしれない。
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「ところで谷川王将が平成教育委員会に出ていることを知った時の私の驚きといったらスゴイものでした。おもわず『あーっ』と叫んでしまいました。なんか見ている方がハラハラしてしまいました。でもさすが谷川王将、トップでしたねー」
『平成教育委員会』は全員回答型で、出題される問題も、中学校入試問題や一般企業入社試験や公務員試験などが含まれていたので、偶然で好成績をとるのは難しく、当然のことながら優勝するのはもっと難しい。
『平成教育委員会』には、この後、米長邦雄永世棋聖、石田和雄九段、田中寅彦九段、中井広恵女流六段が出演しているが、トップは取っていない。
トップになったのは、かなりな快挙と言えるだろう。