中原誠十六世名人の「最も印象に残るタイトル戦」(1)

中原誠十六世名人が「最も印象に残るタイトル戦」という、1972年の名人戦を振り返ってみたい。(中原誠十六世名人が初めて名人を獲得した名人戦。ちなみに挑戦を決めたA級順位戦では8戦全勝)

時の名人は大山康晴十五世名人。

中原挑戦者からみて、○●●○●○○となる大激戦だった。

まずは第1局から。

先手が大山名人、後手が中原挑戦者。

7211

大山名人の三間飛車。香落ち上手古典定跡のような構え。

7212

大山名人は6七金と手厚くして中飛車に。中原挑戦者は左美濃の堅陣。

7213

飛車取りに構わず△6六歩。▲8四歩なら△6七歩成▲同飛△5八角の狙い。本譜は▲同金。

7214

意表の端攻め△9八歩が、中原挑戦者会心の一手。▲同香は△9九角、▲同飛は△9六飛で先手不利。

本局は112手で中原挑戦者の勝ち。

2007年将棋ペンクラブ大賞技術部門大賞の「現代に生きる大山振り飛車」で、中原誠十六世名人自らが「会心の一局」と語った一局。

つづく

 

現代に生きる大山振り飛車 現代に生きる大山振り飛車
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2006-12