1990年版「棋士個性派番付」(前編)

将棋マガジン1991年3月号、河口俊彦六段(当時)の「対局日誌」より。

 12月21日の話になるが、あの日、対局室に入ると、出来たばかりの本誌を見ながら、みんなくすくす笑っている。理由を聞くと、コマゴマ掲示板の、個性派番付が傑作だと言う。

 どれどれと見れば、なるほどおもしろく、当の棋士達を苦笑させたところがにくい。

(以下略)

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この「棋士個性派番付」は、将棋マガジン1991年2月号の「コマゴマ掲示板」に掲載されている。

「コマゴマ掲示板」は、将棋マガジンの読者のページで、「棋士個性派番付」は名古屋の経営コンサルタントKさん(46歳、三段)による投稿。

東方、西方と分かれているが、今日は東方の紹介をしてみたい。

(番付、四股名、本名、得意技)

東方

横綱 

自然児

中原誠名人

・おっとり

・自然体

張出横綱 

鷺ノ迷宮(さぎのみや)

米長邦雄王将

 冗談好き

・上段突き

・モロ出し

大関 

江戸穴熊

大内延介九段

・天竺わたし

・早投げ

張出大関 

綾牛 改メ 猛玄界(もうげんかい) 限界?

加藤一二三九段

・なんでもやぐら

・せき払い

・回りこみ

関脇

鍾馗嶽(しょうぎだけ)

高橋道雄九段

・黙りこみ

・混合ダブルス

関脇

江戸ノ若

塚田泰明八段

・綱渡り

・左指し

小結

今牛若

羽生善治前竜王

・上手ひねり

・上手にらみ

小結

駿河知(するがち)

青野照市八段

・ギンギン攻め

・理づめ迫り

前頭

板梶(イタカジ)

島朗七段

・ブランド固め

・早嫁取り

前頭

三河口(みかわぐち)

石田和雄八段

・泣きだまし

・ぼやき投げ

前頭

筆立(ふでだち)

河口俊彦六段

・生き残り

・寸鉄刺し

前頭

大鉈 改メ 北奇行(ほっきこう)

佐藤大五郎八段

・金目固め

・不利飛車

前頭

我妻(あがつま)

福崎文吾八段

・ほほえみ返し

前頭

天ノ夢(アマのゆめ)

櫛田陽一四段

・突っ張り

・アマ寄り

前頭

新ノ峰(にいのみネ) 2位のみ…

森下卓六段

・うっちゃられ

前頭

小僧シ(こにくシ)

先崎学五段

・雑巾がけ

・引ッ掛けリーチ

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以下、簡単な解説を。

モロ出しは、1985年か86年の鳥取砂丘でのヌード写真、あるいは、、、などと、当時の状況をそれぞれ説明しようとも思ったが、それでは興醒めになるので、超簡単に。

混合ダブルスは、高橋八段の趣味のテニス。

イタカジは、イタリアン・カジュアル。

青野八段は駿河、石田八段は三河、佐藤(大)八段は北海道、の出身。

金目は”かねめ”と読む。

福崎八段は、”モナリザの微笑み”、かつ新婚。

櫛田四段は、アマ強豪から奨励会1級で入会。

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明日は、西方と年寄、をお送りしたい。