将棋世界2003年3月号、河口俊彦七段の「新・対局日誌」より。
四階へ上がると、田中誠くんが「凄いことがありました。加藤先生が夜食に特上すしに、上天ぷら定食を注文しました」と目をまるくして教えてくれた。いわれれば加藤さんはますます太ったような気がする。この日は、神谷七段と対局で、例のごとく、四間飛車に対し「加藤式棒銀」である。指しなれているはずなのに、三時間の長考をしたりした。
そういえば、夜食はさすがに全部は食べきれず、トロとネギトロ巻とエビの天ぷらは残したとか。なら特上すし、上天でなくて並でも同じでは、というのは凡人の考えだろう。ともあれ、加藤さんの挙動は、みんな細かく観察している。すなわちスターの証しである。
(以下略)
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特上寿司でトロとネギトロ巻を食べない場合、並や中を頼んだほうが合理的なのかどうか調べてみた。
対局時の寿司の出前は「千寿司」が行なっている。
将棋棋士の食事とおやつによると、「千寿司」のにぎり寿司メニューは次のとおり。
並(マグロ2カン・イカ・光物・玉子・エビ・タコ・巻物1本) 1,100円
中(マグロ・中トロ・イカ・光物・玉子・エビ・貝類・巻物1本) 1,400円
上(マグロ・中トロ・白身・玉子・エビ・貝類・イクラ・巻物1本) 1,700円
特上(中トロ・大トロ・白身・玉子・甘エビ・上貝類・ウニ・イクラ・上巻物1本) 2,700円
特上と並のネタで、共通するのは玉子のみ。
特上と中では、中トロと玉子が共通。
特上と上では、中トロと白身と玉子とイクラが共通。
特上にしかないネタは、大トロ、甘エビ、上貝類、ウニ、上巻物。
並・中・上ではカバーされていないものが多い。
中トロとネギトロ巻(上巻物)を食べなかったとしても、やはり特上を頼む必然性があることが分かる。
なお、加藤一二三九段の対局時の昼食、夕食は、2009年度末から「特上にぎり寿司」が主力となっている。