将棋マガジン1993年4月号グラビア、「『殺人の駒音』がドラマに」より。
将棋を題材にして、第12回横溝正史賞特別賞を受賞した長編推理小説「殺人の駒音」(亜木冬彦作)が、ドラマ化されることになった。
その撮影ロケが東京千駄ヶ谷の将棋会館でも行われた。写真は金田信一役の役所広司さんと、八神香介役の根津甚八さんが将棋会館から出てくるシーン。
二人とも将棋は子供の時に覚えて遊んだというが、最近は全然やらないとのこと。将棋を指すシーンが出てくるが、やはり駒を動かす手つきが一番困るそうだ。しかし奨励会員の特訓を受けたので、本番では見事な駒さばきを見せてくれるはず。
放送日はまだ未定で、5月以降になりそう。TBS系「月曜ドラマスペシャル」で放映される。
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「殺人の駒音」の内容紹介は次の通り。
13歳の天才少年棋士に敗れ、ひとりの男が奨励会を去った。八神香介、26歳の誕生日のことであった…。そして16年後、第5期竜将ランキング6組1回戦。将棋の表舞台から姿を消していた八神が、その沈黙を破り大衆の前に再び姿を現した。アマチュア最高位から、再びプロ棋士に挑むためであった。だが、対戦当日、相手プロは姿を見せない。それもそのはず、彼は自宅のアパートで何者かに殺害されていたのである。香車の駒を握りしめるという奇怪なダイイング・メッセージを残して…。深まる謎、息も吐かせぬ展開。ミステリーの枠を超えた最高のエンターテイメント・ノベル。横溝正史賞特別賞受賞作。
「殺人の駒音」は週刊将棋で連載された漫画「輪廻の香車」の原作でもある。
八神香介は奨励会退会後に真剣師となって、「死神」と呼ばれていた。
八神香介を演じるのは根津甚八さん。
八神が奨励会最後の対局で敗れた相手は、後の谷山竜将。
谷山竜将を演じるのは豊川悦史さん。
八神に関心を持っていろいろとサポートするのが、将棋ライターの金田。
金田も奨励会を退会していた。
金田を演じるのが役所広司さん。
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将棋マガジンのモノクログラビアには、将棋会館の前の通りを歩く金田(役所広司)と八神(根津甚八)、そしてそこにカメラを向ける制作陣の写真。
根津甚八さんは、黒の帽子に黒のロングコート(もしかすると革製かもしれない)とサングラス。
ファッション誌から抜け出たような雰囲気で、全く斬新な真剣師の姿となっている。
ドラマなので、このような破天荒さがあっても良いと思う。
そもそも、根津甚八さんは真剣師向きの顔をしている。
そして役所広司さんは、背広の上にトレンチコート。
今の役所広司さんも格好いいが、20年前の役所広司さんだ。
背広もコートも普通のものなのに、とても普通の人には見えない。
俳優だから当たり前と言ってしまえば当たり前なのだが、絶妙に格好いい。
超格好いい観戦記者。
この役が、背広の上にトレンチコートを着たビジネスマンだったとしても、教師だったとしても、医師だったとしても、不当に格好良すぎる。
役所広司さんは、この3年後に、『Shall we ダンス?』などで更に大ブレイクする。
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役所広司さんといえば、渡辺淳一原作の映画「失楽園」で主役を演じている。
ここに出てくる役所広司さんの髪型などの外見や服装は、「殺人の駒音」の時とほぼ同様。
出版社の社員という設定だ。
渡辺淳一さんは大の将棋ファン。
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観戦記者役が勝新太郎さんならどうだろう。
将棋好きな勝新太郎さんだったが、豪快すぎて観戦記者はもちろんのこと、会社員にも公務員にも医師にも教師にも見えない。棋士役ならピッタリだ。
高倉健さんなら観戦記者役にかなりピッタリ。素晴らしい観戦記を書いてくれそうな雰囲気だ。もちろん、棋士役も完璧の二乗。
タイプは違うが、大滝秀治さんも最高の観戦記者、あるいは中野英伴さんばりのカメラマン役。大滝さんも大の将棋ファンだ。
成田三樹夫さんも将棋が大好きだった。成田三樹夫さんが観戦記者役なら、ものすごく面白いドラマになりそうだ。
田村正和さんなら、、観戦記者というより対局場で起きた事件を解決しに来る古畑任三郎役。
石立鉄男さんは、やはり、団鬼六さんと一緒にタイトル戦を見学に行く石立鉄男さんそのもの。
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名人(高倉健)と竜王(勝新太郎)のダブルタイトルマッチ。
観戦記者役は成田三樹夫、カメラマン役は大滝秀治、記録係役はGackt、新聞社担当者役は三浦友和、対局場の旅館の女将役は岩下志麻、若女将役が松嶋菜々子、酔っぱらいの宿泊客役の金子信雄と田中邦衛。
控え室には、大盤解説担当の八段(萩原健一)と弟弟子の六段(水谷豊)と女流六段(桃井かおり)と女流初段(新垣結衣)。
そして控え室には、団鬼六さんと石立鉄男さんも遊びに来ている。
もはや無理な話だが、このようなドラマも絶対に見てみたいと思う。