石田和雄九段らしさ全開の会話

将棋世界1990年10月号、青島たつひこさんの「駒ゴマスクランブル」より。

 静岡県に上陸した台風が新幹線を止め、東京ドームの巨人-中日戦が中止になった珍しい日だ。この日、神戸の有馬温泉では、王位戦の第3局が行われ、東京の将棋会館では、中原-石田戦(竜王戦)をはじめ、4局の対局が行われていた。

 今年の中日は弱い。中日は弱いが、中日ファンの石田八段は強い。竜王戦ランキング3組で優勝したと思ったら、本戦トーナメントに入ってまず有森五段を破り、続いてこの日は挑戦者争い本命の一人とみられていた中原名人に勝ってしまったのだ。

 対局の翌日は、中野にある石田教室の例会日だった。

 「先生、やりましたね」

集まったファンの声。

 「いやあ、とにかく疲れましたよ・・・」

 「先生、やりましたね」

 「いやあ、私がフランクフルトなんて、似合わない・・・」

 「先生、やりましたね」

 「いやあ、別に竜王戦だけにしぼっているわけじゃありませんよ。いや、しぼっていないというわけでもないが・・・。ここまできたら、あと一番、あと一番だけ、勝ちたいねえ」

 「先生、あと三番でもいいんじゃないですか」

 「いやあ、あと三勝一敗でもいいんだよ」

 8月20日、谷川王位が青野八段に勝ち、挑戦者決定戦は谷川王位と石田-福崎戦の勝者との間で行われることになった。ここまでくると、周囲の声は「本命谷川」で一致している。だが、予断は許さないと、記者は思う。

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石田和雄九段らしさが200%出ている絶妙な会話だ。

とても微笑ましいというか面白い。

勝負師の野心をボヤキで包んでいるのが石田和雄九段流。

この後、石田和雄八段(当時)は福崎文吾八段に勝って挑戦者決定戦に進出。

挑戦者決定戦では谷川浩司王位に2連敗で敗れてしまったが、多くの人が石田八段に声援を送った。

(フランクフルトはこの期の竜王戦第1局の開催地)

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明日(2月10日)、石田和雄九段の

・現役引退慰労

・石田和雄名局集出版記念

・渡辺大夢四段昇段

の祝賀会がある。

石田和雄名局集出版記念・渡辺大夢四段昇段祝賀会

石田和雄名局集 (名局集シリーズ) 石田和雄名局集 (名局集シリーズ)
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2013-02-14

会場は三井ガーデンホテル柏(3階 天空の間)。

開場午後5時30分、開演:午後6時00分。

会費大人:10,000円/女性:8,000円/未成年:7,000円

特典として、参加者全員に直筆サイン入り石田和雄名局集が進呈される。

参加棋士は、森内俊之名人、郷田真隆棋王、佐藤康光王将、森内名人門下の竹俣紅女流2級をはじめ、はじめ石田一門(勝又清和六段、佐々木勇気四段、門倉啓太四段、高見泰地四段、渡辺大夢四段)など。

温かい、素晴らしい会になることだろう。

柏将棋センターのホームページ

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ところで、石田和雄九段門下の門倉啓太四段(@kei_63 )が、昨日のtwitter上で大人気だった。

サンマルクカフェで門倉啓太四段が(店の隅の4人席で)一人くつろいでいると、可愛い女性が「空いてますか?」と言って横に座ってきたのだという。

店内が混んでいたからなのだろうが、テーブルの対面ではなく隣に。

そこから巻き起きる門倉四段の心の葛藤と、twitterを通しての皆の声援など。

まとめサイト→門倉四段、白昼の死闘

祝賀パーティーへの参加者が更に増えそうだ。