判断に迷う非常に悩ましい場面

近代将棋1993年9月号、羽生善治四冠(当時)の「竜のアドバイス」より。

「竜のアドバイス」は読者からの質問コーナー。

〔ある大会から〕

 私が審判をしていた時に実際におこった事例二つ。

  1. 秒読みの最中、着手したが、となりの駒をはじきとばした。秒読み係は秒読みを継続し、10を発声してしまった。
  2. 同じく秒読み。不可抗力で盤の上の一歩がはじけとぶ。対局者はどこの歩かわからない。局面は寄せ切るかどうかの非常に緊迫した局面。一応寄せには関係なさそうな位置だった。

 これに対して私は

  1. 着手成立と見て続行させた。
  2. 緊迫した局面ゆえ、指し手を止められず、一歩が消えたまま続行させた。

 この判断が正しかったかどうかおしえて下さい。

   (江別市 新井田基信)

  

〔羽生善治四冠の回答〕

 1の場合は着手完了とみなし、そのまま続行してかまわないでしょう。

 2の場合もそのまま続行してもよいのですが、勝負に関係のある重要な歩の場合は当事者及び審判と協議すべきでしょう。

 大体において新井田さんの処置は正しいでしょう。

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非常に悩ましい場面、これを審判は瞬時に判断しなければならないから大変だ。

質問者の新井田基信さんは、全国学生名人、朝日アマ名人戦準優勝などの実績のあるアマチュア強豪であるとともに、1996年から北海道将棋連盟常務理事と事務局長を務め、全道選手権やJT日本シリーズ、東急百貨店さっぽろ店の「新春将棋まつり」などの運営に尽力した。小中学生への指導にも力を入れ、小学生時代の広瀬章人七段を大いに育てたことでも知られている。

残念なことに、新井田さんは2010年2月に48歳の若さで亡くなられている。

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プロの対局でも、判断に非常に迷うケースが出てくる。

それらの処置は対局規定で定められている。

今年も昨年に引き続き「将棋文化検定」が行われるが、以下の問題は将棋文化検定にかなりの確率で出てきそうなものばかり。

初めて知ることも多い。 

将棋世界1990年9月号、「豆知識アレコレ」より。クイズ。

①対局通知が郵便事故で対局者に届かず対局不成立になった。この対局者は対局通知受領書の返送をふだん怠っていた。 

  A 不戦敗  B 再戦

②遅刻するとその3倍を持ち時間から引くが、天災や事故等の不測の事態の場合は

  A 引かない  B 遅れた分数だけ  C 通常どおり3倍引く

③東西交流で当日の朝に現地入りした棋士が不測の事態で2時間遅刻した。

  A 不戦敗  B 2時間引く  C 引かない

④トーナメントの抽選で1回戦に師弟戦や兄弟戦は行うか。

  A 行う  B 行わない  C 兄弟のみ行う

⑤順位戦のB2以下で同一カードの2年連続対戦はあるか。

  A 毎年変える  B 抽選どおり  C 3年連続はない

⑥秒読みで最後の10を読まれたと同時に着手した。

  A 着手成立  B 時間切れ負け

⑦両対局者が反則に気がつかずに対局続行、終局前に反則行為が確認された。

  A 反則負け成立  B そのまま続行

⑧終局後に反則行為が発見された。

  A 反則負け  B 終了時の勝敗どおり  C両者負け

⑨対局者以外の第三者が反則を指摘できるか。

  A 指摘できる  B 指摘できない

(日本将棋連盟のプロ棋戦の対局規定より引用した)

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〔解答〕

① A

② B

③ A

④ C

⑤ C

⑥ B

⑦ A

⑧ B

⑨ A

     

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