とても優しい羽生善治竜王(当時)と神谷広志六段(当時)の趣味

将棋世界1993年5月号、くつろぎの時間、神谷広志六段(当時)の「テレカ集め」より。

 テレホンカード収集、といっても神谷広志六段の場合は一味違っている。これだけの数のカードで買ったものは一枚もないのだ。最大の収集方法は雑誌等の懸賞に応募して当てること。場合によっては20枚も葉書を書く、家族はもちろん色々な知人の名前で応募する。羽生善治、先崎学、中村修・・・。そして羽生竜王の名前で的中した。当たったテレホンカードは羽生の家へ郵送される。それを羽生はわざわざ対局の日に届けにきてくれたそうだ。そのカードが「貧乏生活マニュアル」というのも何とも楽しい。

 神谷ミャー・職業猫、で当たった競馬のカードもあった。おべんちゃらが大嫌いな神谷が、カードのためならば何でもほめまくるそうだ。酒席では「それ以上女の話をするとなぐります」などという硬派はテレカのためなら風俗記事の感想文も書く。子供の名前で出した「どらえもん・ふりかけカード」。「あれ持ってきてよ」「でもあれ僕の名前で来たんだもん」「でも、お父ちゃんが出したんだぞ」「じゃあ、写真を写す時だけだよ」。そんな愉快な会話が耳に心地よかった。

将棋世界同じ号より、撮影は弦巻勝さん。

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親しい棋士に話を通しておいて、それらの棋士の名前と住所でも懸賞に応募する。

それも、テレホンカードに絞った懸賞のみ。

まさに勝負師らしい取り組みと言えるだろう。

神谷ミャーの名前まで使うのも、愛猫家の神谷広志七段らしいところ。

神谷広志六段(当時)の対局日に、当選したテレカを届けに来る羽生善治竜王(当時)も、ほのぼのとしてとても良い雰囲気だ。

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神谷六段は、売買を伴わない、純粋なテレカコレクターなのだと思う。

保管に場所を取らないのも大きなメリット。

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テレホンカードは1982年12月から発売が開始されたが、1990年代半ばからの携帯電話の普及によりその販売枚数は1995年度の40,353万枚をピークにどんどん下がっており、2007年度には1,234万枚となっている。(NTTの発表による)

そういった意味では、テレホンカードはより一層コレクターズアイテムとしての位置付けを強めている。(とはいえ、10年以上前からプレミアム価格はかなり下がっているという)

いろいろと調べてみると、25万円(鈴木京香)、24万円(森高千里)のような高額なプレミアムがついたテレホンカードもあるが、同じ鈴木京香さんでも2,000円のものがあったりと、需給関係で流通価格が決まってくるようだ。→これぞお宝!高額テレカランキング

楽天市場で見てみると(オークションを除く)、高額なものは、

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価格:30,000円(税込、送料込)

のような雰囲気。

畠田理恵さんのテレカも高額だ。

高額テレカ率の高い森高千里さんのテレカでも流通量の多いと思われるものは安価になっている。

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価格の付け方がとても難しそうに思える。やはり奥の深い世界のようだ。