ゴルフバッグを二つ担いだ山崎隆之七段(当時)

近代将棋2006年12月号、遊駒スカ太郎さんの「関東オモシロ日記」より。

 さてさて最近のわたくちめは比較的まじめに原稿仕事に精を出し、そのご褒美としてよくゴルフ練習場に行く。24時間やっているというゴルフ練習場を見つけ、だいたい午前0時過ぎくらいからひょこひょこと出かけていくようになった。深夜の打ち放題は料金もそこそこ安く、2時間練習して2千円くらいである。ちょうど絶好のゴルフシーズンでもあることだし、週に2~3回程度通っているのだ。その甲斐あってか、徐々にボールが狙ったところに集まるようになってきているのを実感している。

 先日は飯野健二七段と練習に行き「随分と見違えたね」とお褒めの言葉もいただいた。う~みゅ、何事も練習が大切ですね。

 先日、久々に久保利明八段に連絡を取って、最近の調子などを聞いてみたところ、「この前ラウンドしたときには久々に90が出ましたよ。もうドライバーイップスを脱しました。わははは」と元気のいい話が聞けた。そういえば、1年半くらい前から久保八段はドライバーイップスにかかってしまい、オイラと同じような110というスコアを平気でたたいてしまうほどの不調に陥ってしまっていたのだ。

 久保八段の絶不調を目撃した中では、ティーショットのバックスイングで地面とクラブがぶつかってしまう「バックスイングでダブリ」という珍しいシーンもあったくらいにひどい状態だったのだが、どうやらスランプは脱出したらしい。

 関西では最近になって平藤真吾六段と山崎隆之七段がゴルフを始めたという。噂によると、平藤六段のバイクの後ろにゴルフバッグを2つ担いだ山崎七段が乗り、ゴルフ場まで行くのだそうだ。その光景を想像しただけでも、オイラは結構面白い。

 さて、その平藤、山崎コンビが初めてショートコースにチャレンジしたらしいのだが、そこでなんとなんと、平藤六段はいきなりのホールインワンを決めてしまったというのである。

 うまくグリーンの方向に飛んで行ったなーと思って、グリーンまで歩いていくとあるはずのボールが無く、そのボールがカップの中にあったというのだ。

 漫画のような本当の話だそうで、初めてコースに出た人がホールインワンを達成したという記録は、これまでにあるのでしょうかね。

(以下略)

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ゴルフバッグ2つを担ぐだけでも大変なのに、その状態でバイクの後ろに乗るというのは、とてもハラハラするような光景だ。

噂によると、なので、実際にはゴルフバッグは往路も復路も宅配便で送っていたのかもしれない。

・・・しかし、本当にゴルフバッグ2つを担いでいたかもしれないとも思えてしまうところが、棋士の神秘性だ。

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ビギナーズラック、私にも一度だけあった。

生まれて初めて乗った飛行機の座席が、スチュワーデス席と向かい合わせだったこと。

昭和の頃の、羽田発福岡行きの便だった。

しかし、実際にはその席は、楽しく会話をする場所でも交流を深める場所でもなく、彼女たちがそこに座っているのも離陸時と着陸時だけで、だからといって顔をジロジロと見るわけにもいかず、決して実利的なビギナーズラックという訳ではなかった。

私の人生の中でのでビギナーズラックはこの時に使い果たしてしまったようで、その他の分野でのビギナーズラックとは無縁の状態が続いている。