プロ初段の条件

将棋世界1989年1月号、故・小野修一六段(当時)の「受け方教えます」より。

 昔アマチュアの頃、何かで読んだプロ初段の条件というのに、

  1. 目かくし将棋が出来ること。
  2. 総ての詰将棋を詰ます(詰まし得ること)
  3. 駒落ちから平手まで総ての定跡に精通していること。

などの項目があり、当時の私はプロの強さにえらく感動したものですが、ところがいざ自分がプロの初段になってみると、1はともかく2と3はとても出来ません。周囲を見回しても私とさほど変わらない様子、これはがっかりしました。

 ところでアマの方によく上達法を聞かれます。私は詰将棋を解くのが一番効果があると思いその説明をするのですが、聞いている時には感心しても、これを家に帰ってきちんとやる人は少ないようです。私は実戦で覚えるとか、本番に強いタイプだとか言ってまずやっていません。毎日の単調な練習はアマでもプロでもつらいもののようです。

(以下略)

—–

  1. 目かくし将棋が出来ること。
  2. 総ての詰将棋を詰ます(詰まし得ること)
  3. 駒落ちから平手まで総ての定跡に精通していること。

のうち、小野修一六段(当時)が書いていることから考えると、目かくし将棋が3つの中では一番難しくはないということになる。

もっとも、私から見ると、98兆480億光年と98兆1200億光年と98兆950億光年の比較のようなもので、どれもはるか遠くの世界だ。

—–

将棋の神様から、1、2、3のうちご褒美で一つだけ才能をもらえるとしたら、どれを選ぶだろう。

私が選ぶとしたら、、、3かなと思う。

いろいろな戦法を指せそうだし、様々な棋譜をそれまで以上に楽しめそうだし、何かを書く時にも役立ちそうだ。

—–

しかし、本当に強くなりたいのなら1なのだろうし、猛烈に強くなりたいのなら2を選ぶべきなのだろう。1、2があっての3だ。

3を選びたくなるところが、終盤に弱い私らしいといえば私らしい…