実戦では見過ごしてしまいそうな強烈な相振り飛車次の一手

将棋世界1979年4月号、「初段コース試験問題」より。

第3問 内藤國雄九段出題。

優勢に持ち込む手。

内藤次の一手

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相振り飛車で何度か現われても不思議ではない、よくありそうな局面。

実戦であれば、とりあえずは▲7七桂として、それからどうするか考えよう、となってしまうと思う。

ところが、これは次の一手。絶妙手がある。

私はわからなかったので解答を見てしまったが、正解率は75%もあったという。

じわじわと落ち込んだ。

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(解答はずっと下にあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将棋世界1979年6月号、「初段コース解答」より。

正解:▲7四歩(75%)

 問題図は、後手が△3四飛を2四へ寄せた局面です。

 つぎに後手に△8二銀の余裕を与えると、”手”がなくなってしまいます。

 ヒントにもあるように、ここで先手方優勢に持ち込む手があります。

 ▲7四歩が正解です。

 これに対して―。

①△7四同歩は▲5五角!

②△7四同飛は▲6五角!

で、いずれも簡単に先手が優勢となってしまいます。

 問題は③△8二銀と受けられたときですが、そのときは▲8四歩(A図)が好手。

内藤次の一手2

 以下△7四飛と歩を払えば、▲8三歩成△同銀▲6五角。

 また△8四同歩と応じれば▲同飛で、つぎに▲7三歩成の十字飛車による飛の素抜きをねらって、先手は攻める手に困ることはありません。

 ▲8四同飛に△7四歩は▲5五角の痛打が依然として残っています。

 問題図の後手△2四飛寄は、▲2二角を消したものですが、そのため玉頭にキズが生じたというわけです。

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覚えておいて損のない手筋だが、実戦ではついつい見過ごしてしまいそう。