将棋世界1987年10月号「将棋パトロール」より。
神谷、不滅の28連勝達成!
今年2月以来、連勝を続けている神谷広志五段は、8月17日、棋聖戦本戦で米長九段にも勝って、遂に連勝記録は「28」(開幕からだと21連勝)となった。
ただ、難敵を倒した次の対局で、伏兵 室岡五段に敗れ(8月21日、王座戦)記録はそこでストップ、惜しくも30連勝は成らなかった。
とはいえ、開幕21連勝、通算で28連勝は、従来の記録を大幅に更新するスーパー新記録で、特に開幕…の方の記録は、永久に?破られないのでは…と思われる程、桁違いの数字となっている。
今月は、この不滅の連勝記録を分析してみたい。(尚、27連勝迄の内訳は9月号の67頁を参照のこと)
☆28連勝
〔年度〕
61年7連勝+62年21連勝
〔先後〕
先手17勝(平均110手)
後手11勝(平均107手)
〔手数〕
最短61手(対山口英・棋王)
最長196手(対武者野・C1)
平均109手(総手数3,053)
〔棋戦〕
順位戦 4(C1)
本戦 6(棋王戦、棋聖戦他)
予選 18(テレビ対局他)
〔対戦相手〕
タイトル保持者 0
A級 3
B1 4
B2 4
C1 10
C2 720連勝迄は先手番が15局あったが、その後は23、26連勝目だけが先手番、ということで、この点、後半は振り駒に恵まれなかった?といえる。
ただ連勝ストップの一戦も後手番であり、従って先手番17連勝の記録は、まだ継続中ということになる。(この先後別の連勝記録については不詳だが、昨年度に、先手番では、塚田20連勝、羽生17連勝、谷川15連勝というのがあり、後手番では、南12連勝がある)
また、連勝中最長の196手というのは、7月7日、順位戦の対武者野戦で、連勝タイ記録となる22連勝目の一局だった。
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神谷広志五段(当時)の28連勝の内訳は次の通り。
2月10日 野本虎次七段 順位戦
2月23日 伊藤果六段 NHK杯
2月23日 安恵照剛七段 NHK杯
3月3日 富沢幹雄八段 順位戦
3月19日 山口英夫七段 棋王戦
3月26日 池田修一五段 勝抜き戦
3月26日 佐伯昌優八段 勝抜き戦
4月1日 瀬戸博晴四段 棋聖戦
4月8日 池田修一五段 棋王戦
4月30日 関根茂九段 棋王戦
5月4日 石田和雄八段 NHK杯
5月12日 石田和雄八段 棋王戦
5月15日 山口千嶺七段 棋聖戦
5月25日 武者野勝巳五段 早指し戦
5月25日 鈴木輝彦六段 早指し戦
5月25日 永作芳也五段 早指し戦
6月5日 青野照市八段 棋王戦
6月9日 剱持松二七段 順位戦
6月12日 達正光四段 棋聖戦
6月23日 堀口弘治五段 棋聖戦
6月27日 有野芳人五段 早指し戦
7月7日 武者野勝巳五段 順位戦
7月10日 滝誠一郎六段 全日プロ
7月13日 石田和雄八段 棋聖戦
7月17日 二上達也九段 棋王戦
7月22日 武市三郎五段 王座戦
7月24日 青野照市八段 棋聖戦
8月17日 米長邦雄九段 棋聖戦
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分析好きな私だが、28連勝の記録の分析はあまり必要ないと思う。
ただただ凄い。分析などを吹き飛ばしてしまうほどの迫力だ。
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今日行われる、王将戦 一次予選 澤田真吾六段-藤井聡太四段戦。
藤井聡太四段が28連勝を達成するのか、27連勝で止まってしまうのか、が決まる。
どちらの結果になっても、歴史的な日になるかもしれない。
今日は静かに勝負を見守りたいと思う。
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→記録保持者の神谷八段、歴代最多連勝記録王手の藤井四段にお願い「28で止めてほしい」(スポーツ報知)
→藤井四段に神谷八段がエール 歴代最多28連勝より天下獲り(スポニチ)
→最多記録30年 神谷八段の心意気「ソフトに頼って生き残るくらいなら…」(スポニチ)
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→神谷広志五段(当時)「16連勝した時に、塚田君が本気で心配しているという話を聞いて、それなら塚田の泣く顔を見てやろうと思った」