将棋マガジン1984年10月号、川口篤さん(河口俊彦六段・当時)の「対局日誌」より。
ある時、酒を飲みながらの雑談で、椎橋は将棋指しにしておくには惜しい人材だ、という話になった。ちょっと高級なクラブにいたので浮かんだ連想だろうが、彼はクラブのマネージャーなら超一流になっていただろう、というのである。なるほど、とみんなうなずいた。恰幅がいいし、人当たりも申し分ない。それに時には凄んでみせることもできる。なにより女性を口説くのがうまい、というのがいい。
かつて、今は家庭に収まった面々が、歌舞伎町あたりでナンパをはっていた頃、ガールハントの腕では椎橋が群を抜いていたそうである。モテるといえば真部か飯野で、事実は私も目撃しているが、この二人も椎橋と比べたら手合いがちがうらしい。で、彼がマネージャーなら美女を集められ、クラブが繁盛する、というわけである。
だったら椎橋を女性教室の講師にする一手ではなかろうか。
(以下略)
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椎橋金司五段(当時)はこの頃35歳。
若い頃は、若い頃の岡田真澄さんに似ていたという。
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「将棋指しにしておくには惜しい人材」と言われて喜ぶ棋士は少ないと思うが、モテることについては真部一男九段や飯野健二七段とは手合違いというのだから、相当に凄い。
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クラブのマネージャーではないが、クラブのママについて。
40年近く前の本で読んだことだが、ある銀行の銀座支店では、ママが美人のクラブへの融資は断ったという。
これは、(ママが、ママよりも綺麗な女性を採用しない→顧客が減る)から、ということが大きな理由らしい。
繁盛している店は、ママが超美人ではないという統計データもあったのだろう。
現在がどうなのかはわからない。