将棋世界2003年8月号、谷川浩司王位(当時)の第74期棋聖戦五番勝負〔佐藤康光棋聖-丸山忠久棋王〕第2局観戦記「打開する意思」より。
震災からの復興を祈念して1996年から始まった淡路での棋聖戦も、今年で8回目となる。
第1回は、七冠を達成したばかりの羽生棋聖に三浦五段が、前年に続いて挑戦したシリーズ。ここでの第1局に快勝した三浦五段が3勝2敗でタイトルを獲得。七冠の一角を崩す。三浦棋聖が賞金の一部を寄付した事も、地元の将棋熱を盛り上げる理由となり、淡路には三浦ファンが多いという。
2000年、谷川-羽生戦の第1局がちょうど通算100局目に当たるなど、数多くの舞台を演出しているが、正直言ってここでの対局は何故か一方的になる事が多い。
実力派同士の今シリーズ。名局を期待しながら朝早く神戸を出た。
二人の対戦成績はここまで20勝12敗。2000年の名人戦、フルセットで丸山奪取のイメージが強いが、実は佐藤がかなり勝ち越している。
この七番勝負では、佐藤先手の1・3・5局は横歩取り。丸山先手の2・4・6・7局は角換わり。スペシャリストの丸山に相手の得意を避けない佐藤が真っ向からぶつかった。
番勝負で丸山の角換りを全局受けて立つ棋士は佐藤の他には、郷田くらいしか思い浮かばない。負けはしたが、佐藤の真骨頂とも言えるシリーズだった。
(以下略)
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1995年1月に起きた阪神・淡路大震災。大震災からの復興と活性化を目指した地元からの誘致がきっかけで、1996年6月18日、淡路島のホテルニューアワジでの第67期棋聖戦五番勝負第1局 羽生善治棋聖-三浦弘行五段戦が実現されることとなった。
この五番勝負で羽生善治七冠(当時)を破った三浦弘行棋聖(当時)は、棋聖戦の賞金の中から100万円を兵庫県洲本市に寄付している。
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阪神・淡路大震災が起きた1995年1月17日早朝は、三浦弘行四段(当時)は順位戦の対局のため大阪のホテルにいた。
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谷川浩司王位(当時)は結びで次のように書いている。
佐藤連勝。淡路で棋聖戦が始まってから誰も果たしていない、タイトル防衛まで後1勝とした。
調べてみると、たしかに1996年から2002年まで、棋聖戦は全て挑戦者が勝っている。
しかし、2003年以降は佐藤康光棋聖が5回防衛(在位連続6期)、羽生善治棋聖が9回防衛中(在位連続10期)と、非常に安定した流れとなっている。