「羽生善治七冠から最初にタイトルを奪う棋士」アンケートの結果

将棋マガジン1996年7月号、「読者アンケート」より。

将棋マガジン1996年7月号より、撮影は中野英伴さん。

 5月号の「羽生七冠から最初にタイトルを奪う棋士」の集計結果を発表します。35名もの名前が挙がりました。

 さすがに、現在名人に挑戦中の森内俊之八段の名前を挙げた人が一番多く、234名が集まりました。「羽生竜王・名人は多忙なので今がチャンス」などという理由を挙げた方もいらっしゃいました。

 次に多かったのは佐藤康光八段で213票、続いて谷川浩司九段が212票と、ほぼ同数の票を集めました。過去のタイトル戦番勝負で羽生七冠に勝ったことがある実績を評価されたのでしょうか。なかには「最初にタイトルを奪うのは佐藤八段だが、名人位を奪うのは谷川九段」と書かれた方もいました。

 この三人以外はすべて40票以下で、中原誠永世十段、郷田真隆六段、屋敷伸之七段、米長邦雄九段、森下卓八段、村山聖八段、深浦康市五段がベストテン入りしました。中原永世十段の名前を挙げた方には、「とにかく一度羽生七冠とのタイトル戦を見たい」と書き添えられた方が何人かいました。

 中には、現役の棋士の名を挙げずに、奨励会員の名前(渡邊明1級、山崎隆之三段、野月浩貴三段)を挙げる人や、「いない」とか「これから生まれる人」などと書いてこられた人もいました。

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「羽生七冠から最初にタイトルを奪う棋士」の正解は、ベストテンに入っていなかった三浦弘行五段(当時)。

まさしく快挙と言える。

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渡邊明1級は12歳、山崎隆之三段は15歳、野月浩貴三段は三段リーグ2位でこの年の9月に四段昇段を決めることになる。

奨励会員の名を挙げるとは、なかなかの通好みの選び方。

応援したい気持ちも含まれていたのだろう。

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どちらにしても、予想とはなかなか当たらない、と言うことができそうだ。