「中井塾・一般体験会」突撃レポート

中井塾・一般体験会を受講した。

結論からいえば、他では体験することができない、非常に満足度の高い内容だった。中井広恵天河と石橋幸緒女流王位による講義。

以下、日記風。

16:00 はじめに

16:05 詰将棋トライアル(15分で16問)

問題が配られてドキドキする。問題用紙は4枚。解き始めると意外と解けるもので、はじめの数問までは順調に解答する。このへんは3~5手詰め。

しかし8問目で長考。これを飛ばして先の問題へ行ってもよかったのだが、

次の問題用紙を見ると、持ち駒3枚以上の問題が出現。詰将棋が苦手な私にとっては、持ち駒3枚以上の問題を短時間で解くのは至難の業。結局8問目と格闘している間にタイムオーバー。

(あとで聞いたら、ランダムに問題を配置しているということだったので、もっと先に進むほうが正解だった)

16:25 大局観トライアル

「大局観を養う 感覚次の一手」の問題7問を15分で解く。正確には次の3手が6問、次の一手が1問。正解は複数ありうる。

問題を解いている最中に、詰将棋トライアルの採点が戻される。

結果は16問中、正解は5.5問。本当は5問なのだが採点の石橋女流王位の温情により1問が×ではなく△に。

大局観トライアルは、中盤の入り口や中盤真っ只中の問題が中心。通常の次の一手のような即大優勢になる一手とは異なり、感覚的な問題。プロの実戦から出題されている。

この大局観トライアル、2時間近くの内容で、非常にためになった。

何よりも、プロの視点というものを実感できた。

問題解答の制限時間終了後、大局観について解説がある。

中井天河より「大局観とはどういうものだと思いますか」という質問があり、最前列に座っていた私がはじめに指名される。

何も考えてなかったので、思わず

「男性にとっての女性の好みみたいなものだと思います」

と答えてしまった。

中井天河は大笑いしてくれたが、中井天河も別の場所で「大局観は異性に対する好みと似た感覚」と解説したことがあったらしい。

人それぞれによって異なる大局観。

大局観は「駒の働き」「駒の損得」「王の堅さ」「急所の押さえ(厚み)」など6項目の中の優先順位付けによって、それぞれの人の個性が出てくる。

女性の好みでいえば「容姿」「性格」「体型」など、どの因子を優先されるかということ。

参加者全員が6項目の優先順位を聞かれた。

私の場合は、攻める振飛車党なので「駒の働き」「王の堅さ」が上位になり、「急所の押さえ(厚み)」は最下位。

中井天河は「急所の押さえ(厚み)」「駒の働き」「駒の損得」…の順。

石橋女流王位は「駒の勢い」「駒の働き」「急所の押さえ(厚み)」…の順。本当に棋風が出るようだ。

ちなみに同席していた植山悦行七段の優先順位は中井天河と「急所の押さえ(厚み)」と「駒の働き」の順位が違うだけで、あとは一緒。さすがご夫婦だと思った。

その後は、問題7問の実戦での指し手の解説。中井天河と石橋女流王位の掛け合い。

ひしひしとプロの考え方が伝わってきた。この大局観の部分だけでも4,000円の価値があると思った。

18:30 今回のおけいこ

いろんな話や習い事の時間。

湯川博士さんによる「江戸時代の将棋の歴史」。

笑いながらためになる話。

以前から中井塾に参加していて、当日も参加の小学6年の和田あきさんにも わかりやすい話を心がけたと湯川博士さんは終了後の打ち上げで語っていた。

和田さんにとって、湯川博士さんの顔が怖かったのではないかと心配だ。

(湯川博士さんは、10年以上前の北野たけしの番組の中の「朝まで生オヤジ」というコーナーの”怖い顔のオヤジ”募集でオーディションに合格したほどだ)

19:00 定跡講座「ゴキゲン中飛車」

実践例に基づくゴキゲン中飛車定跡講座。

私は、石田流と向飛車しか指さないが、振飛車党の一員でもあるので、ゴキゲン中飛車は大歓迎だった。

歴史的な流れと手順分岐によるわかりやすい解説。このような手法で本にしたらファンから歓迎されるだろうなと思った。

しかし、ここはプロ養成機関の講座。

プロ同士の戦いが示される。

ゴキゲン中飛車の狙いは「イビアナ阻止」であって、その代償に受ける場面、辛抱する場面も多い。

ましてや三間飛車のような捌きや、石田流、力戦向飛車のような技をかけにいく将棋でもない。

私は、相手にイビアナにされようが、好き放題に攻めて、飛車を成りこめれば、それで満足というタイプ。

私はきっと、今後もゴキゲン中飛車は指さないだろうなと思った。むしろ、忘れていた古女房のごとく、石田流、向飛車に対する愛着が増してきた。

そもそも受けるのが嫌いな振飛車党というのも異端なのだろうが、アマ同士の対局ならある程度はいける。

しかし、プロならそうはいかない。

ここでも、プロの視点を体感することができた。

この定跡講座を何回かに分けて、もっと掘り下げるという新講座も、可能性としてはあるかもしれないと思った。

20:00終了予定だったが、中井天河と石橋女流王位の大サービスにより20:30過ぎに終了。定跡講座の主題は中盤までだが、ある実戦解説では、終盤手前の中井天河の自慢の一手▲5五銀の解説など、微笑ましい場面も多かった。

次も、このような講座が開かれるなら、また参加してみたいと思っている。

自分が強くなるためというよりも、プロの視点を意識できるようになる。

プロの指し手の真似はできないが、プロの棋譜を鑑賞するうえでとても有効な、言葉では表現できない何かが身についたと思う。