中原誠十六世名人の先週の週刊新潮「気になる一手」より。
郷田九段勝勢とみられた名人戦第3局終盤で羽生名人が△3七飛成と王手をかけた局面。
「絶妙なタイミングで、あなたはどう指しますかとの問いかけでもある」
応手は▲7八玉、▲5七桂、▲4七歩の3通り。
「秒読みのなか、すべてを読み切るのは至難の業である」
「本局全体にもいえることだが、羽生名人の問いかけが随所にみられた。往年の大山将棋にもこれが多く、相手は精神的に徐々に疲労していく。ボクシングのボディブローのような感じで後から効いてくる」
大山十五世名人との死闘を繰り返した中原十六世名人であればこその言葉。
大山十五世名人と羽生名人の意外な共通点。
「名人」だからこそ見えている何かがたくさんあるのだと思う。
図での中原十六世名人のお薦めは▲4七歩。
△同竜▲5七桂△9六銀のときの▲3六銀が竜に当たる。