1963年A級順位戦、丸田祐三八段(先)-大野源一八段戦。
「大野の振飛車」の最初に掲載されている一局。
居飛車からの急戦に対し、大野流三間飛車が真っ向から反撃。
これぞ三間飛車。
▲4五歩からの急戦。以下△3五歩▲同歩△4五歩。
△3五歩が三間飛車らしい一手。
△3五歩に対し、▲4四歩△3六歩▲4五桂は△1五角と出られて先手不利。
ここから▲4四歩△3六歩▲1六歩。
▲1六歩は奇異に見える手だが、▲4五桂と逃げると△1五角▲2七飛△3五飛がある。
▲1六歩は、△1五角を防ぐ定跡手で、他の棋士の感想戦に加わっていた升田幸三九段が発見した手。
(その一局は5筋の歩を突き合っていなかった)
先手は、先に桂損しても、銀が3七、3六、4五と出ていって押さえ込めれば良いという方針。
△3七歩成▲同銀△5五歩。
△5五歩が絶妙。▲同歩なら△5三銀から4四の歩を取りにいくし、
▲3六銀なら△4四角で、次に▲2四歩と来ようが▲4五銀と来ようが△3五角から荒さばきに出る。(角を切って飛車を成り込む方針)
よって、先手は▲5五同角。そこで△5三銀。
次の△4四銀が角当たりになる。
以下、▲2四歩△同歩▲8八角、そして再度の△5五歩。
▲同角だと△4四銀からの後手の捌きにスピード感が出てしまうので、
▲3六銀△4四銀▲5五歩△4二角。
次に△3五銀となれば三間飛車は絶好調。
二度の△5五歩により、あっという間に捌ける形となった。
ここから小太刀の名手、丸田八段の反撃。
▲5四歩△5五歩▲2三歩。
▲2三歩は△3五銀のときに▲2二歩成を狙っている。丸田八段は歩の使い方に定評がある。
以下、△4三金▲4六歩△同歩▲2二歩成△同飛▲4五歩。
これで一応先手は、3筋から飛車を捌かれる脅威はなくなった。
△3三銀▲5五角△5四金▲ 4六角△4四歩。
ここから、大野八段の絶妙な反撃が展開される。
=つづく=