玉損の攻め(石田和雄九段)

将棋世界1999年7月号付録、「一生に一度の会心の一着&穴があったら入りたい究極の大ポカ」の石田和雄九段の項より。

photo_7 (4)

1998年2月の竜王戦、石田和雄九段(先)-加藤一二三九段戦。

ここで石田九段が指した手は▲2二馬。

photo_8 (3)

以下、石田九段のコメント。

私にしては珍しい振飛車。難解な将棋だったのですが、なんとか勝勢に持ち込んだ局面です。時間に追われた終盤戦、疲労もあったのですが、とんでもないことをしてしまいました。▲2二馬。なんと王手を掛けられているのに王手を掛けるという考えられないことを。もちろん反則です。私の読みは▲3九玉△3七歩成、そこで▲2二馬のつもりだったのです。以下、△4一玉▲4二と△同玉▲5二金△同飛▲同桂成△同玉▲5四香△6一玉▲3一飛△7二玉▲3七飛成。これなら文句なしに私の勝ちだったのです。今思い出しても、くやしくて仕方ありません。

—–

石田和雄九段と加藤一二三九段の感想戦は、平時においても絶対に面白い感想戦になっているのだと思うのだが、この時の感想戦ではどのような会話が交わされたのか、更に興味は尽きない。