先崎学五段(当時)「いやん、ばかん、佐藤さんも森下さんも村山さんも強いんだもん」

将棋世界1991年4月号~7月号、先崎学五段(当時)の「公式棋戦の動き」より。

第40回NHK杯(NHK)

放映予定

3月10日 

羽生-先崎戦   解説:中原誠名人

*自分のことを自分で書くというのは、物凄くつかれるものである。放映日と発売日の都合で、結果はもちろんそれにすこしさわることすらもゆるされない。

 マ、なにはともあれ見てください。

 それなりに頑張りましたゼ。

 耳よりなニュースをひとつ。来期からこのNHK杯、2時間の枠になるそうである。(今は1時間45分)決勝は17日の放映。

5月12日

桐山清澄九段-高田尚平四段   解説:鈴木輝彦七段

*高田は初出場。両者共に力戦居飛車党なので鬼が出るか蛇が出るか・・・。解説も注目

5月19日

小野修一七段-木下浩一四段   解説:塚田泰明八段

*木下は前回に引き続きの出場。暴れる木下を重厚小野が受け止められるかどうか。

5月26日

小林健二八段-飯野健二六段   解説:真部一男八段

*健二同士の対決。小林は四間飛車。飯野は左美濃か穴熊。A級棋士の貫禄をみせるか。

6月9日

勝浦修九段-中川大輔五段   解説:ボク

*最近不調の勝浦だが竜王戦で中原に勝ち復調したか。”研究の鬼”中川を捌けるか?

6月19日

田丸昇八段-神吉宏充五段   解説:木村義徳八段

*『囲碁将棋ウイークリー』でおなじみの名物男の登場。将棋は粘っこい関西流。

6月23日

森けい二九段-東和男六段   解説:石田和雄八段

*乱戦得意の森に正攻法の東。かき回す森に押さえ込む東。対照的な二人の戦い。

第24回早指し戦(テレビ東京)

放映予定(朝6時~45分迄)

3月9日 

小野修-中田宏   解説:原田泰夫九段 聞き手:山田久美二段

*両者地味な棋風。矢倉の最新型か角換わり。

3月16日 

加藤-森内   解説:二上達也九段 聞き手:高群佐知子初段

*早指しの天才同士。終盤に策あり。

3月23日

羽生対 小野-中田戦の勝者   解説:二上達也九段 聞き手:神田真由美初段

*二上は羽生の師匠。解説も注目しよう。

3月30日

いよいよ決勝   解説:大山康晴十五世名人 聞き手:中井広恵女流王位

*さあ皆さん、早起きしましょう! 

第10回早指し新鋭戦(テレビ東京)

放映予定(朝6時~45分迄)

5月11日

阿部隆五段-丸山忠久四段   解説:神吉宏充五段

*正攻法阿部に粘りが身上の丸山。熱戦期待。将棋と共に毒舌の神吉解説もおもしろいド。

5月18日

森下卓六段-藤原直哉四段   解説:阿部隆五段

*優勝候補の登場。すでに大関横綱クラスの森下が今さら新鋭というのもねェ・・・

5月25日

佐藤康光五段-阿部・丸山の勝者   解説:ボク

*解説が恐い(佐藤談)。あんた、ワシのこと悪くいったら許さんでえ(阿部談)。

6月8日

先崎五段-高田四段   解説:森下卓六段

*今回は前日花見なんてことはない。コテコテにされないように頑張るだけでーす。

6月15日

8日の勝者-佐藤康光五段   解説:森内俊之五段

*いやん、佐藤さんて強いんだもの。ボクが勝ったらゆるめてね。おねがいしまーす。

6月22日

森下六段-村山聖五段   解説:神吉宏充五段

*いやん、ばかん、森下さんも村山さんも強いんだもん。ゆるめてね(先崎さん!ふざけるのもいいかげんにして下さい。森下談)(終わった後麻雀して下さい。村山談)。

—–

先崎学五段(当時)の「公式棋戦の動き」、このテレビ棋戦の短いコメントも、なかなか読ませる。

解説者を見ているだけでも楽しい。

—–

NHK杯戦3月10日の放送、羽生-先崎戦は準決勝で、先崎五段が勝っている。

結果は伏せているが、先崎五段の喜びが湧き出ているような文だ。

この期、先崎五段は決勝で南芳一王将を破り優勝している。

—–

図は、そのNHK杯戦決勝の中盤。

南王将の△6四金が▲5四銀からの突進をかわした手。

nhk1991

▲5四銀なら△5六歩と止められ、

▲5三銀成は、△3一角▲5四歩で先手が苦しい。

だからといって、▲4五銀と引くのは、△7六銀成で先手が困る。

南王将がリードしたかに見えたこの局面で、当時の記録によると、先崎五段は「ハアアーッ」と雄叫びのような声をあげて、▲5四飛の勝負手を放ったという。

この後、先崎五段の攻めが快調に続き、決勝戦を制した。

—–

この期の早指し戦の決勝では、加藤一二三九段が羽生善治前竜王に勝って優勝。

早指し新鋭戦決勝は、佐藤康光五段が森下卓六段に勝って優勝している。