「四段・五段コース検定問題」と同一局面になった一局

将棋世界1994年1月号、「第52期順位戦」より。

 谷川-小林(健)戦は本誌先月号の検定問題と同一局面(信じられないが)になり、そこから小林に”解答”を指されて、谷川は非勢に陥った。

 しかし、谷川は落ち着いて勝負手を連発。これが奉功して逆転勝ちを収めた。

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このA級順位戦、小林健二八段(先)-谷川浩司王将戦が行われたのが1993年11月11日。

将棋世界1993年12月号が発売されたのが、11月の初旬。

12月号の四段・五段コースの問題(局面)は次の図。

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谷川王将が△6二飛と回って、自ら問題図を作り上げてしまった形。

問題図と実戦は、先手後手も含めて、全く同一局面。

ここで小林八段は、正解手▲1五歩を指す。

以下、△同歩▲8六歩。

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△8六同歩なら▲同角△8二飛▲3一角成△8八飛成▲1三歩△同桂▲2一角で先手勝ち。

実戦はここから、△6四歩▲8五歩△6五歩▲8四歩△2二王▲8三歩成で、先手優勢となる。

しかし、その後、劣勢の谷川王将が、いろいろなアヤをつけて逆転してしまう。

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この問題の正解率は26%。四段・五段コースの他の2問の正解率が80%以上なので、3つの問題の中では難問に入る。

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同じ号の編集部日記より。

11月19日

事務所で小林八段をみつける。先日行われた対谷川戦の順位戦で本誌12月号の四、五段コースと同一局面が出現。小林八段は正解の▲1五歩を着手した。「四段はあるでしょう」と八段。実戦でそれを見事証明?した。

11月20日

谷川王将編集部に。例のことを伝えるとしばし無言・・・。「どこかで見たような気はしていたんですが・・・・・・」「将棋世界は勉強になりますね」「ハ、ハイ」。しかし、段コースの正解手を指されて逆転するとは。