仏陀のような顔から文殊菩薩のような妙手を繰り出す

先週行われた竜王戦3組昇級決定戦で、小林裕士六段が糸谷哲郎五段に勝って、2組への昇級を決めた。

攻めの鋭さに定評のある小林裕士六段。「攻め十段」、「関西の早指し王」とも称されている。

今日のNHK杯将棋トーナメントでは、木村一基八段と対戦する。

今日は小林裕士六段の話題を。

将棋世界2005年12月号、福崎文吾九段の「関西将棋レポート」より。

 図は、王位戦の児玉孝一七段対小林裕士五段戦。

 児玉七段は、カニカニ銀戦法を編み出した棋士。それは升田幸三賞を受賞するほどのレベルだ。シンプルであり、率直、決断力の良さは児玉七段の持ち味である。

 対する小林五段は仏陀のような仏教系の顔をしていて、その指し手は文殊菩薩のように次々と妙手を繰り出してくるので対戦者は注意が必要だ。兄弟子の阿部隆八段は「彼はタイトル戦に出てくる可能性があるので、もっと勉強してほしい」と語っている。

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 図は児玉七段の角換わり棒銀から激戦となっている。ここから実戦は▲3六銀(好手)△7九銀▲9八飛△6八金▲4八玉△1八馬と進んだ。▲3六銀は、2七馬に狙いをつけた眼目の一手。これに対して△2六馬は働きが弱くなり、おもしろくない。本譜は△7九銀から△6八金と指し、△1八馬と後手を引きながら逃げるだけの手順。しかしながらこの手順は、大局観の素晴らしさを証明した小林将棋なのだ。わずかながら後手有利を継続する妙手順だった。以下は小林五段の勝ちとなる。

 児玉七段「重たい銀を打たれてビックリしたなあ。将棋は奥が深いなあ」。小林五段「前からこの筋(△7九銀~△6八金)が成立するか考えていました」。

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言われてみると、小林裕士六段はたしかに優しい仏陀系の顔立ちをしている。

出身が京都なので、なおさらそのような感じもしてくる。

小林裕士六段の写真

小林裕士六段は、順位戦(C級1組)で毎年のように昇級争いに加わっている。

竜王戦2組への昇級を決めて、今後の活躍も大いに期待できそうだ。

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ところで、わずかながら後手有利を継続したという上記局面(下図)。

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桂取りの先手で、▲1七歩成や▲8六歩の楽しみもある。

重く見える△7九銀~△6八金のご利益が、大きく現れている。