行方尚史四段(当時)「負けたら相手を呪い殺し、自分も死ぬ」

将棋世界1994年1月号、棋士交遊アルバム「対談 宮崎彩子(女優)&先崎学五段&行方尚史四段」より。

宮崎 まァ、そうなんですか。おいくつですか。

行方 19歳です。

宮崎 若いのね。先崎さんは21歳ぐらいかしら。

先崎 23歳です。童顔なので、いつも若く見られます。宮崎さんは22歳ぐらいですか。

宮崎 うまいなァ(笑)、私は27歳。でも役者としては、まだ一年生です。

先崎 芸能界へ入る年齢としては、遅いほうですよね。

宮崎 小さい頃から、女優になりたかったんです。母の勧めで、ピアノ、日舞、水泳、合気道、茶道、エアロビクスなどを習い、女優を夢見ていました。実際に、中学2年の時にスカウトされました。でも、両親に強く反対されて断念しました。その後、母を亡くし、早くして嫁いだ姉達の代わりに父の事業を手伝いました。その父が昨年亡くなったんです。両親の早い死は大変悲しいことですが、長年のあこがれだった女優への道が開かれました。人生って、不思議なものですね。

先崎 フーン、そうなんですか。ボク達は人生を決めるのが早いよな。

行方 ボクは野球少年だったんです。でも故郷の青森は、冬は野球をできない。それで将棋に切り替えました。それもダメならロックの評論でもやっていたかも…。

先崎 ボクは11歳で将棋の世界に入った。よくそんなに早く自分の運命を決められるもんだと、人にいわれます。

行方 奨励会の頃は、負けたら相手を呪い殺し、自分も死ぬ。そんな覚悟でやっていましたね。

宮崎 きびしいけど、ひとつのことに打ち込めるって、うらやましいわ。

先崎 まァ、将棋と結婚したようなもんですよ(笑)。

宮崎 私は女優として、スタートラインに立ったところ。まだ本当の自信はありません。ふるえがくることもあります。でも現場で流れに入ると、その気になっちゃう。

先崎 今はどんな役をやっているんですか。

宮崎 デビュー作の映画は、女学生役でした。テレビの『さすらい刑事 旅情編』では、婦警役をやっています。

先崎 姉御肌の役があいそう。

行方 インテリっぽいのがいいですよ。

宮崎 役者という仕事は、息の長い職業だと思っています。役柄をひとつひとつ、じっくりと身につけていきたいですね。

先崎 将棋に興味があるということは、ギャンブルもお好きですか。ボクは大好きです!

宮崎 競馬場には、よくいきます。私はズバリひらめきです。パドックを歩いているのを見て、元気そうな馬を買う。それが、よく当たるの(笑)。

先崎 そうか、それは参考にしよう。

行方 競馬か……。熱いものが、こみあげてくるな。昔、一財産なくしました。

先崎 一番読めないのが、女心。ボクは、自分の彼女には必ず将棋を教えます。自分の一番大事な部分を、理解してほしいからね。

宮崎 女優も、恋をしていると感情移入しやすいといいます。そんな役はいつのことかしら(笑)。

行方 ボクは、女の子がいるよりも、いい将棋を指せるほうがうれしい。

先崎 アレッ、前の話とちがうぞ。

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棋士交遊アルバムの第1回。

本来の企画の趣旨からいえば、宮崎彩子さんと先崎五段・郷田五段(当時)の対談が自然な姿だったのだろうが、一年目のスタートラインというテーマの共通性から行方新四段(当時)の登場。

行方四段(当時)がボソッとした感じでインパクトのある話を繰り出す。

対談の底に流れる三人の微妙なミスマッチ感がとても面白い。

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中学2年の時にスカウトされたからといっても、26~27歳になってからすぐに女優になれるものではない

そのような中、宮崎彩子さんは25歳を過ぎてから女優になり、活躍を続けているわけなので、すごいことだと思う。

宮崎彩子さんプロフィール

宮崎さんは、最近では大河ドラマ「篤姫」の能登役、テレビ朝日系「鹿鳴館」では伊藤博文夫人役などをやっている。

宮崎さんは、エキゾチックな雰囲気の正統派美人。

同じ顔合わせでまた対談をやったなら、面白いかもしれない。

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