升田幸三実力制第四代名人の不安そうな表情の写真

将棋世界2001年7月号、田丸昇八段(当時)の「セピア色の棋士たち」より。写真は清水孝晏さん撮影。

 昭和20年代半ばから30年代にかけて、東京・中野の旧将棋連盟本部で年末に「棋士のど自慢大会」が催されるのが恒例行事だったそうで、何とそれがNHKラジオで毎年放送されたという。

 写真中央は、升田幸三実力制第四代名人で、どうやらこれから歌うようだ。右は加藤治郎名誉九段、左は萩原淳九段。升田の曲目は分からないが、将棋の鬼も何やら神妙な面持ちである。

清水孝晏さん撮影の写真の一部

 ある年ののど自慢大会の出演棋士と曲目を少し紹介すると、「この道」(塚田正夫実力制第二代名人)、「五木の子守唄」(加藤名誉九段)、「巴里の屋根の下」(荒巻三之八段)、「磯節」(原田泰夫九段)、「きらめく星座」(二上達也九段)など。歌謡曲・民謡・シャンソンと多彩な曲目である。

(以下略)

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升田幸三実力制第四代名人の写真は数多くあれど、このような不安そうな表情のものは非常に珍しい。

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この年末恒例の「のど自慢大会」は、日本将棋連盟の忘年会の中で行われるものをNHKが収録したようだ。

NHKで放送された棋士の忘年会

たしかに、「のど自慢大会をやりますから参加希望者は12月◯日△時に会館にお集まりください。なお、当日の模様はNHKラジオにて放送されます」という案内を出してもほとんどの棋士は来ないかもしれないが、忘年会なら皆が集まる。

紹介されている年に歌われている曲は、全て戦前からあった曲。

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年末恒例だった「駒音コンサート」が始まるのが1984年からのこと。2000年の第14回まで続けられた。(2004年に一度復活開催されている)