升田式石田流の序盤の非常に迷う変化

将棋世界2001年5月号、佐藤紳哉四段(当時)の「紳哉くんの将棋カウンセリング」より。

Q.△3三角への対応

 升田式石田流の変化です。1図は先手よしとなっていますが、もしここから後手に△3三角とされた場合は、どのように応じればよいのでしょうか。

 △3三角で△4四角だったら▲同馬△同歩▲9八角というのはおかしいでしょうか。

(愛媛県松山市 Fさん)


A.3種類用意しました

 1図は確かに先手よしです。先手は馬でさらに駒得を狙うのに対して、後手の竜は、先手玉への響きが弱いのがその理由です。

 △3三角に対しては、何通りか優位を拡大する手順があります。棋風によって使い分けて下さい。

<捌き重視>
▲3三同馬△同桂▲8八飛

<駒の働き重視>
▲2一馬△9九角成▲8八歩

<駒得重視>
▲3三同馬△同桂▲2二角

 いずれも先手大優勢です。

 なお、△4四角に対する▲同馬△同歩▲9八角も好手です。

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1図で先手よしとされている局面(便宜上、石田流後手番を先後反転させた図になっている)。

私も石田流を多く指しているが、1図はいつも悩む局面。

▲2一馬で先手が良くならなければおかしいという気合いのもと、いつも▲2一馬と指しているのだが、△9九角成▲8八歩の後の△8七歩がいつも気にかかるところ。

▲同歩なら△7七香があるので▲1一馬とするのだろうが、こちらから8七の歩を取れないことや、△8六桂から攻められるのも気持ちが悪い。

佐藤紳哉四段(当時)の将棋カウンセリングのこのQ&Aはつい最近発見したのだが、個人的にとても有り難い。

敵の竜が残っていて先手の飛車が捌けないのは不満なので、捌き重視型の▲3三同馬△同桂▲8八飛が自分にとっては良さそうだ。

ゴキゲン中飛車でも似た変化があるが、先手が居玉の場合は▲3三同馬△同桂▲8八飛の瞬間に△7七角とされるので、この変化は取れない。

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魅力的な手が複数あってどれも自分が有利になりそうな局面、このような時こそが、数手以内に悪手を指しやすい時。

1図の変化で私が石田流側を持って何度も負けている。(1図からの勝率は5割の印象)

人生と似たところがあると思う。