将棋世界1981年12月号、「メモ帖」より。
対局姿が一番
「洋装」という雑誌の11月号グラビアに”個性ゆたかな勝負師たち”と棋士4人(米長、真部、佐藤義、伊藤)の洋服姿が紹介された。
ふつうの立ち姿を大きく、対局時の姿を小さく、のせているのだが、対局時のほうが遥かに恰好よい。同誌編集部の意図に反した結果になったらしい。
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真部一男七段、佐藤義則六段、伊藤果五段(段位は当時)とも、和服をよく着る若手棋士だった。そのようなことで、洋服姿が紹介されたのかもしれない。
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「洋装」という雑誌を調べてみると、洋装社から出版されていた業界誌で、現在は発行されていない。
記事の例は、
「注文洋服店の設計~基本装備はモダンと楽しさを強調」
「成功しているファッション専門店から販売政策を学ぼう」
「紳士服市場の激変に対応する戦略」
「連載~注文洋服業界の周辺と今後」
「オールコットンの技術の要点」
読者層は一般の人ではなく、売る側の人。
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将棋世界1982年9月号、「テレビを見て②」より。
NHK教育テレビで7月19日から4晩にわたって米長棋王の”訪問インタビュー”があった。
○読みの省略―「アマ初段ぐらいの人は(難しい局面において、カンで)着手を10種くらいに絞れる。最善手を指す確率は10分の1。私たちは1手半くらいに絞れます」
○遊びは仕事の影―「大きい仕事をしたからには裂しく遊ばなければならない。カミさんには、おれの仕事にも遊びにも口を出すなと言ってあります。世の中、マジメなのが良いという事になっていますが、私は反対。もう一度生まれ変わったら19歳以後にもっと裂しく遊ぶ。すると今と違った(上質の)将棋を指せるかもしれない」
ミのある新説がポンポン飛び出した。
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「棋士の読みの省略」は現在では広く知られることとなっているが、この頃は非常に目新しいことだったと思う。
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「大きい仕事をしたからには裂しく遊ばなければならない」
たしかに、仕事が良い意味で忙しい時ほど、遊ぶことが多かったと思う。
遊ぶといっても、酒を飲むことだけだったが。
23時まで仕事をして2時過ぎまで飲んで、翌朝9時30分に出社するようなパターン。
それで、うまくバランスが取れていたのだと思う。
もちろん、これは若いうちしか通用しない。