奨励会員が次から次へと質問する

将棋マガジン1984年3月号、「奨励会ニュース」より。

 年も改まり、心機一転今年こそはと心に誓っている奨励会員も多い。新年の初対局(11日)の奨励会に先立って、1月6日に講習会が開かれた。

 今日の講師は毎日新聞社の加古明光記者。記者になってからの体験談や新聞社の立場から棋士、または将棋連盟についての要望などを、約1時間にわたって講演。奨励会員もそのときは神妙に聞き入っていたのだが、講演のあとの質問になるとがぜん目の色が違ってきた。加古さんは将棋も担当されているが、年末のレコード大賞の選考委員でもある。それを知っている奨励会員が次から次へと質問するのである。

「松田聖子ちゃんと郷ひろみのうわさは本当ですか?」とか「中森明菜ちゃんのデビューのときの苦労話は?」などいろいろ飛び出した。これにはさすがの加古さんも困った様子。盤を離れると奨励会員も並(以下?)の少年なのである。

「私の通っている高校(代々木高校)は芸能界の人が多いのですが、醒めているところがあるように思うのですけどどうしてですか」という質問をした富岡三段。11日は四段昇段のかかった例会日である。

(中略)

 羽生が初段に昇ってきた。1局目は庄司初段に勝って昇段の一番を迎えた羽生は、2局目も勢いに乗って佐藤初段を破り晴れて入品。最近は勝負強さも備えてきたようだ。

 羽生の入会は57年の12月。1年ちょっとで6階級の進撃はたいへんな記録でもある。有段者とぶつかるこれからに注目したい。

(以下略)

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この頃はまだ、日本レコード大賞も黄金期を過ぎていたとはいえ、大晦日の放送は視聴率30%を超えていた時代。

加古明光さんの講演が終わるやいなや、将棋に関することではなく芸能界の質問が次々と出たのは、とてもよく気持ちがわかる。

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初段を認められることを意味する「入品」は元々は囲碁用語。

今まで「にゅうほん」と読むのだと思っていたが、あらためて調べてみると「にゅうぼん」が正しいようだ。

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羽生善治竜王が初段になったのが1984年1月11日で13歳の時。

藤井聡太五段が初段になったのが2014年6月22日で11歳の時。

今日行われる朝日杯将棋オープン戦準決勝、羽生善治竜王-藤井聡太五段は対局前からマスコミが大きく取り上げている。

故・高田宏さん(作家、前将棋ペンクラブ会長)が何度か話されていたことだが、「どちらが勝ったほうが大きなニュースになるか、ということを考える」

羽生善治竜王-藤井聡太五段は、この一局だけを見ればどちらが勝っても大きなニュースになるだろうが、最も大きなニュースになるケースは、藤井聡太五段が朝日杯将棋オープンで優勝した場合だろう。

どちらにしても、注目の一戦。

中継(AbemaTV)

 

 

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