「深浦2級は”なかなか強い”と有段者にもマークされている」

将棋世界1986年10月号、銀遊子さん(片山良三さん)の「関東奨励会だより」より。

 4月から7月までの4ヵ月間の成績優秀者の発表があり、表彰とともに賞金が授与された。

有段者
①森内三段 10-4 .714
②櫛田二段 11-5 .687
②小池裕二二段 11-5 .687

級位者
①深浦2級 18-6 .750
①真田2級 18-6 .750
③岡崎初段 16-6 .727
③丸山1級 16-6 .727
⑤菅沼1級 15-6 .714
⑥盛3級 17-7 .708

 有段者の部1位は森内三段。目立った活躍を続けていたから当然という感じである。

 が、7月に入ってやや失速気味で、6勝4敗の星は上がり目とは呼ぶことができない。ここから一気の7連勝でも見せてほしいものだが、静観して待つことにしよう。

 2位は、櫛田、小池(裕)の両二段が同率。

 よく勝っているのに昇段には結びつかないという意味で二人は似たもの同士といえようが、このあたりでそんなイメージを拭い去りたいところだろう。櫛田はあと3勝1敗、小池はあと5勝2敗でいい。二人の力ならさほど難しいことではないと思えるのだが、昇段がからむと”それ以外の力”がどこからかやって来ていたずらをするらしい。なんとか乗り越えてもらいたいものだが……。

 級位者では、深浦君と真田君が勝率首位を分けた。

 真田君は、12連勝という一発大駆けがきいた感じで、有段者にはまだ通じない(この日、小池英、中川に連敗)ようだが、深浦君は「なかなか強い」と有段者にもマークされている。記録係もすすんで数多くつとめているようだし、これから伸びる要素をたくさん持っている少年である。

 もちろん、真田君だって伊達に2桁連勝はしていないはず。2度、3度ともまれれば有段者の辛さが身についてくることだろう。舞い上がらずくさらず、精進してほしい。

 岡崎君は、好調の波に乗って入品を果たした。一度は2級に降級したこともある苦労人だが、へこたれず頑張ったのがよかった。42年5月4日生まれの19歳遅咲きだが、まだ間に合う。

 丸山君は表彰の常連。相変わらずよく勝っている。今月、昇段の一番を惜しくも逃したが、時間の問題だろう。文句なしの有望株である。菅沼君、盛君はまだ未知数だ。

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「三つ子の魂百まで」という言葉が頭に浮かんでくるような文章。

この頃の深浦康市九段は非常にストイックな奨励会員だった。

「遊びの誘惑ですか?いろいろ話を聞いていましたから、手を出したら終わりと思っていました」と八段時代のインタビューで話しているように、兄弟子たちと食事に行っても、2次会へ行くのは「行ったら終わりですから」と必ず断っていたほど。

ストイックだった深浦康市少年

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一昨日のA級順位戦最終局、一番最後に決着がついたのが久保利明王将-深浦康市九段戦だった。

深浦九段が勝って、自身の残留を決めるとともに、6者プレーオフになるという劇的な結果をもたらした。

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もし、広瀬章人八段-豊島将之八段戦が最後に決着がついていたとしたら、6者プレーオフになるとともに広瀬八段が自力でプレーオフ出場を決めたという展開になり、これも方向性は異なるがドラマチックものとなっていただろう。

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しかし、厳密には、負ければ降級する可能性を背負っていた深浦九段の状況の方がシリアスであり、そういった意味では久保-深浦戦が最後まで戦われていたということが、今回の最終戦一斉対局をより劇的なものにしたと言えるだろう。

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今日、名人戦挑戦者決定プレーオフ1回戦、久保利明王将-豊島将之八段戦が行われる。

1回戦は挑戦者になるまで5勝しなければならない位置。

ここから5勝するということは、A級棋士がNHK杯戦で(A級棋士は2回戦からのシード)、相手が全てA級棋士である2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝、決勝を勝つようなこと。

6者プレーオフはそれほど厳しい。

 

 

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